2008 Fiscal Year Annual Research Report
アジアにおけるヒト胆道がんの発生・進展に関する遺伝子がん生物学的・分子疫学的研究
Project/Area Number |
18406005
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Research Institution | Nagahama Institute of Bio-Science and Technology |
Principal Investigator |
三輪 正直 Nagahama Institute of Bio-Science and Technology, バイオサイエンス学部, 教授 (20012750)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
正田 純一 筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 准教授 (90241827)
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Keywords | 胆道がん / 寄生虫感染 / ニトロサミン / DNA修復酵素 / 遺伝子多型 / 発がんリスク / タイ:インド |
Research Abstract |
タイ王国の東北部は、胆道がん(特に肝内胆管がん)の世界一の多発地区である。寄生虫感染が重要な要因として知られてきたが、その他の環境要因や遺伝要因の関与が推定されている。本年度はDNA修復酵素の遺伝子多型による胆道がんのリスクを推定した。胆道がん患者と年齢・性・居住地区をマッチさせた対照者を選択して、タイ王国の共同研究者らが、対象者の同意を得て、胆道がんの多発地区であるタイ王国東北部のUbon Ratchathani県より採取した血液サンプルDNAについて調べた。 ハムスター実験では、寄生虫感染のみでは発がんせずに、ニトロサミンなどの発がん物質の同時投与が実験胆管がんの発生に必要と報告されている。そこで、ニトロサミンなどによるDNA損傷の修復に関与する可能性のある塩基除去修復に関わるDNA修復酵素遺伝子として、HOGG1,XRCC1を対象とした。HOGG1遺伝子の326番目のコドンSer/Ser型に対して、Ser/Cys型は、Odds ratio(OR)が、1.16(95%CI:0.54-2.46;p=0.71),Cys/Cys型は、ORが0.94(95%CI:0.41-2.14;p=0.88)と有意差は認められなかった。しかし、XRCC1遺伝子の399番目のコドンArg/Argに対して、Arg/Gln型とGln/Gln型をまとめたものでは、ORは、0.55(95%CI:0.31-0.97;p=0.04)と有意差が認められた。この場合は、予想に反してリスクが低くなるというものであった。 これらの結果は、胆道がんのリスクの評価として有用な情報を与えるものと考えられる。
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Research Products
(7 results)