2006 Fiscal Year Annual Research Report
環太平洋・極北地域のモンゴロイド集団の免疫遺伝学的研究
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18406006
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Research Institution | Aichi Cancer Center Research Institute |
Principal Investigator |
田島 和雄 愛知県がんセンター(研究所), 疫学予防部, 所長兼部長 (30150212)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平木 章夫 愛知県がんセンター(研究所), 疫学予防部, 室長 (70443455)
松尾 恵太郎 愛知県がんセンター(研究所), 疫学予防部, 主任研究員 (80393122)
千葉 仁志 北海道大学, 医学部, 教授 (70197622)
妹尾 春樹 秋田大学, 医学部, 教授 (90171355)
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Keywords | 民族疫学 / イヌイット族 / HTLV-1 / HBV / 脂質代謝酵素 |
Research Abstract |
研究目的は日本人を含む世界のモンゴロイド集団に分布する腫瘍ウイルス、ヒト白血病ウイルスI型(HTLV-I)、およびB型肝炎ウイルス(HBV)に関する情報を広く収集するため、これまで情報の得られていない極北地域の先住モンゴロイド集団を対象とした民族疫学的調査を実施し、これまで収集してきた環太平洋地域の関連情報と合わせ、環太平洋地域におけるモンゴロイド集団の移動史に資する情報を構築していくことにある。 今年度はデンマーク領のグリーンランド東部に居住するイヌイット族のHTLV-IやHBVの流行状況、および各種遺伝子(HLA、脂質代謝酵素など)を用いた免疫遺伝学的特性を明らかにするため、彼らが定住を余儀なくされる気候条件の不良な冬期(1〜2月)に野外調査を計画した。具体的にはグリーンランド東部のイトコトミット病院をベースに近隣に居住するイヌイット族(約200名)の採血活動を実施し、採取した試料はノルウェーのオスロ大学で保存し、それらの試料を共同研究者間で相互利用する計画であったが、今年度はオスロ大学とグリーンランド現地チームとの間で折り合いが着かず、調査活動を断念せざるを得なくなったので、来年度に向けた調査活動を準備している。そのため、今年度の研究費は既に採取している他地域の先住民族の検体を用いた遺伝子の検索費用に充当した。 一方、今年度と同様に調査が不可能となった場合を想定し、カナダ北部のユコン州におけるイヌオット族を対象とした同様の調査活動を計画し、カナダ先住民族の健康対策局を訪問し、HTLV-Iの研究者数名とバンクーバにおいて討議できた。そして、彼らからも本調査の実施協力について前向きの意見を得ることが出来た。本研究を進めるに当たって地元住民からの採血は極めて重要な研究活動であり、われわれは各国の生命倫理・安全対策等に関する原則を守りながら本国際共同研究の遂行に努力している。
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Research Products
(10 results)