2007 Fiscal Year Annual Research Report
ジアルジアの種内変異に関する研究:インドネシアの孤立地域での遺伝子型分布
Project/Area Number |
18406007
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
所 正治 Kanazawa University, 医学系研究科, 講師 (30338024)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井関 基弘 金沢大学, 医学系研究科, 客員教授 (20047179)
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Keywords | 寄生虫 / 腸管寄生原虫 / インドネシア / 種内多型 / 分子疫学 / 遺伝子型 / 系統樹解析 / 人獣共通感染症 |
Research Abstract |
ジアルジアの種内多型形成メカニズムとして、地理的隔離と宿主特異性によるライフサイクルの隔離を想定し、多地域由来のジアルジアサンプルと同一地域の異なる宿主由来のジアルジアサンプルを採取し、遺伝子型解析を実施した。具体的には、平成19年4月6日-15日および7月19日-28日の2回のフィールドワークをインドネシア、スンバ島のワイタブラ村において実施し、ヒト(陽性73/総計638サンプル)および動物(イヌ13/20、野鼠7/17、ブタ2/101、ヤギ1/24)のジアルジアサンプル採取し遺伝子型同定を行い、前年度までに解析の終了している別地域(西スマトラのシベル島および南スラウェシのマカッサル)由来のサンプルとの比較解析を実施した。 結果は以下の通り。 1.ジアルジアの遺伝子型と採取地域には相関は認められず、少なくとも現在のジアルジアの地理的分布は、遺伝子型の形成に寄与しているとは考えにくい。 2.宿主特異性によるライフサイクルの分離は、遺伝子多型において、ヒト、動物のそれぞれに異なる優位遺伝子型として認められ、単系統のクラスターを形成する。 従って、Giardia intestinalisに認められる高いレベルでの多型の存在は、異なる宿主での部分的な隔離の繰り返しによって成立してきた可能性がある。このことから、特に本原虫の一部の遺伝子型に認められるヒトを含む幅広い哺乳類を宿主とする特性は、この機序において重要なファクターとなるものと考えられ、世界中に分布する本原虫に対する対策構築では、人獣共通感染症の視点が欠かせないことが明らかになった。
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Research Products
(13 results)