2009 Fiscal Year Annual Research Report
アフリカマラリア媒介蚊の吸血宿主選好性決定機構の解明
Project/Area Number |
18406010
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
都野 展子 Kanazawa University, 自然システム学系, 准教授 (60295102)
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Keywords | Africa / Anopheles gambiae / malaria / human blood index / host preference / mosquito / Kenya / Ghana |
Research Abstract |
アフリカ東西でガンビエハマダラカの遺伝的隔離がもっとも大きいのはエチオピアからケニアタンザニアの南北に走るグレートリフトバレーの乾燥地帯をはさんだ東西集団であり、アフリカの西側集団からケニア東部にかけては遺伝的変異に乏しい連続した集団を形成している。ケニアの東西の集団を調査地に含めればアフリカ大陸で見られる遺伝的多様性の2極を押さえることができる。このような観点からガンビエハマダラカを主なターゲットとし、ケニア東部の海岸部、西部の内陸部、ガーナの中央部、南部の海岸部で雨季・乾季にマラリア媒介蚊を採集し、種類組成、吸血源の同定を行い、同時に環境変量を測定した。調査地では、人々の生活習慣が地方や民族間で大きく異なっていた。東アフリカのタンザニアと西アフリカのガーナの海岸地方の村では、日没後屋外で睡眠をとり深夜以降は屋内に移動して睡眠をとる習慣が年齢性別を問わず広く観察された。このような生活習慣は蚊の吸血行動にどう影響するのか報告例を見なかったが、ガーナ国内での蚊の吸血生態を報告し、人の生活様式に吸血生態が影響されている可能性を発表した。これまでの研究成果は国際昆虫学会や国内の学会で発表した。ケニアで行った3年間の蚊成虫の動態と吸血源の同定はデータを揃え、国際誌に発表するため準備中である。ケニア東西および西アフリカの熱帯雨林帯、乾燥地帯を調査地に含めた本研究は遺伝的変異、地域的気候変異、潜在宿主動物の分布がどのように蚊の吸血行動に影響しているのかについてアフリカ大陸横断的議論を可能にするデータであり、人の生活様式とベクターの生態について相関性を調べた数少ない研究である。
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