2007 Fiscal Year Annual Research Report
東南アジアにおける吸血性昆虫ブユの種分化およびフィラリア媒介能に関する研究
Project/Area Number |
18406011
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
高岡 宏行 Oita University, 医学部, 教授 (00094152)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大塚 靖 大分大学, 医学部, 助教 (00244161)
福田 昌子 大分大学, 医学部, 助教 (00156788)
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Keywords | 感染症 / 昆虫 / 進化 / 寄生虫 / 生物多様性 / ブユ / タイ:フィリピン / 国際研究者交流 |
Research Abstract |
1)マレーシアのサバ、サラワク州において採集したtuberosum種グループの標本を形態学的に検討し、新種4種を含む6種に分化していることを明らかにした。従来、この種グループは大陸型といわれていたが、島嶼部においても種分化がおこっていることを初めて示した。 2)島嶼型種グループの種分化解析のため、フィリピンのミンダナオおよびレイテ島においてブユの幼虫、蛹の採集を行い、Gomphostilbia亜属のbatoenseおよびbanauense種グループの構成種をそれぞれ5種および1種を得た。Wallacellum亜属に属する種ではさらに3種を得た。Simulium亜属のmelanopus種グループでは2種を得た。このうち、前2亜属に属する1種および3種は新種であった。これらの材料をもとにミトコンドリアrRNA遺伝子の塩基配列を決定し、種間の系統関係を検討中である。なお、パラワン島およびマレーシアの半島部およびサバ州で採集されたGomphostilbia亜属の2新種およびSimulium亜属melanopus種グループの2新種は記載をおこない、論文として発表した。 3)タイ国北部のBan Pang Faenで共同研究者が人囮法で1年間採集したブユ雌成虫のうち、S.nodosumとS.asakoaeの2優先種を解剖し、フィラリア感染を調べた。その結果、これら2種のブユは異なるフィラリア種を媒介していることが判明した。S.asakoaeからフィラリアの感染幼虫が見いだされたのは初めてである。同一地域で2種のフィラリアが別のブユ種によって媒介され、年間を通じて人への感染のリスクがあることをアジアで初めて明らかにした。これらの結果はすでに論文にしている(現在、フランスの国際誌Parasiteに印刷中である)。
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Research Products
(8 results)