2006 Fiscal Year Annual Research Report
中国における再興感染症としての日本住血吸虫症流行の実態調査と効率的対策
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18406012
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
太田 伸生 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 教授 (10143611)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
熊谷 貴 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 助手 (40369054)
二瓶 直子 国立感染症研究所, 客員研究員 (70425677)
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Keywords | 日本住血吸虫 / Oncomelania hupensis / PCR / 再興感染症 / GPS / 28S rDNA-ITS / Sjα1 / EPG |
Research Abstract |
中国国内の日本住血吸虫流行地における正確なcase-detection法を確立するためにPCR診断の応用を図るとともに,揚子江流域の中間宿主貝生息地の土壌分析を行なってOncomelania hupensisの繁殖リスク評価を試みた。中国安徽省の流行地で家畜として飼育されている日本住血吸虫感染牛の血清を簡易DNA抽出用濾紙(FTAカード)にしみ込ませ、その濾紙からDNA抽出を行ってPCR診断の可否を検討した。日本住血吸虫特異的なCR配列(28S rDNA)を標的としたPCRを行った結果、非流行地の牛では全例で陰性であったが、虫卵検査陽性の牛では半数で特異バンドが検出できた。これは感染牛のEPGと相関する傾向にあり,感度の改善は必要であるが、流行地の大動物血清からのPCRによる診断が可能であることが初めて示された。 同様に安徽省内の日本住血吸虫流行地で中間宿主貝を集め、それぞれの貝をつぶして顕微鏡下で感染率を算出した後に、貝からDNAを抽出しCR配列を標的としてPCRを行った。顕微鏡下での直接観察では、住血吸虫の貝内での陽性率は10%程度であったが、貝のDNAからPCRで検出された陽性率は24%であった。顕微鏡下で住血吸虫以外の吸虫セルカリア陽性の貝についても検討したが全て陰性であった。顕微鏡下で観察できるまで成長していない日本住血吸虫の検出は困難であることから、PCRによって肉眼による観察よりも感度よく流行地の貝の感染数を評価できる可能性があることが示唆された。 安徽省内流行地の中間宿主貝の生息地のうち、感染率の異なる数カ所について土壌分析を行ない,pH、 Ca/Na濃度等を計測し,繁殖効率と土壌性状および貝の形態的特徴との関係について検討した。未だサンプル数が少なく、貝の繁殖に与える因子の特定には至らないため次年度への継続検討課題とした。
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Research Products
(4 results)