2007 Fiscal Year Annual Research Report
ブラジルでのワクチン導入前後のロタウイルス流行株の動態調査
Project/Area Number |
18406016
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
中込 とよ子 Nagasaki University, 大学院・医歯薬学総合研究科, 准教授 (40155693)
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Keywords | ロタウイルス / 血清型 / 遺伝子型 / ワクチン / 防御免疫 |
Research Abstract |
重症下痢症を予防するためのロタウイルスワクチンが開発され、世界100カ国以上で認可され、少なくとも10カ国で定期接種に導入されている。ブラジルは世界で初めてロタウイルスワクチンの定期接種に踏み切った国である。ロタウイルスには15の血清型があり、防御免疫は血清型特異的である。本研究は、ワクチンをあまねく使うことによって、ロタウイルス下痢症が本当に減少するのか、また、ロタウイルスの血清型の分布がどう変化するのか、というワクチンによる下痢症制圧の世界戦略上、重要な課題の解明を目的とする海外調査である。ブラジル東北部のレシフェに小児病院を定点として、5未満の下痢症患者から糞便検体を採取した。ワクチン定期接種導入後の15ヶ月間に5歳未満の下痢症患者から採取した472検体中、15%に相当する70検体でA群ロタウイルスが検出された。もっとも高頻度に検出されたのはG2であり、その92%はP[4]であった。ワクチン導入直後からG2は優位な株であったが、導入直後の3ヶ月間では47%がG2であったのに対し、導入1年後の3ヶ月間では100%に変化した。また、ロタウイルスの検出率も導入直後の3ヶ月間における27%から5%に減少した。ブラジルではワクチン(Rotarix)導入後の1年間に下痢症患者に占めるロタウイルス下痢症の割合が著しく減少し、1年後にはすべてG2P[4]となった。レシフェでの接種率は約50%であった。RotarixはG1P[8]のヒトロタウイルス株を弱毒化した単価経口生ワクチンである。したがって、血清型の上ではG2P[4]のウイルス株と共有する抗原性がない。われわれはロタウイルス下痢症の減少と非G2P[4]株の消失がRotarixによる直接のインパクトであると考えている。
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Research Products
(3 results)