2007 Fiscal Year Annual Research Report
アジアで発見された新種ヒトロタウイルスの性状と浸淫状況に関する研究
Project/Area Number |
18406018
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
小林 宣道 Sapporo Medical University, 医学部, 教授 (80186759)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石埜 正穂 札幌医科大学, 医学部, 准教授 (30232325)
鷲見 紋子 札幌医科大学, 医学部, 講師 (10363699)
谷口 孝喜 藤田保健衛生大学, 医学部, 教授 (40094213)
三瀬 敬治 札幌医科大学, 医学部, 助手 (30200025)
長嶋 茂雄 札幌医科大学, 医学部, 助教 (60433116)
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Keywords | ロタウイルス / 新種 / 成人 / 下痢症 / 分子疫学 / アジア / 熱帯地域 |
Research Abstract |
本研究の目的は、我々がバングラデシュで成人下痢症より発見した新種ロタウイルスB219の遺伝子学的性状を明らかにすること、成人におけるロタウイルス感染症の実態を調査するとともに新種ロタウイルスの分布状況を明らかにすることである。B219の全遺伝子配列の解析は前年度終了し、今年度は疫学的解析に重点を置いた。中国では成人、小児合わせて約4000検体の下痢便サンプル、バングラデシュでは約2000検体が採取され、ロタウイルスの検出、遺伝子解析を行った。中国、バングラデシュともにロタウイルスの検出率は小児において25-30%、成人では約10%であった。検出されたロタウイルスはほとんどがA群ウイルスであり、B群、C群はきわめて少数であった。しかしB219様の新種ロタウイルスは検出されなかった。A群ロタウイルスの遺伝子型別では、中国では成人、小児ともにG3が圧倒的に多く、バングラデシュではG2が多かった。中国で検出されたG3のロタウイルスのVP7遺伝子を解析すると、その配列は小児、成人由来ウイルスの間では98%以上の一致率が認められた。これを世界の他の地域で報告されているG3ロタウイルスと比較すると、概ね95%以下のやや低い一致率であった。またロタウイルスのRNAパターンも成人および小児由来のウイルス間で類似し、またロタウイルス下痢症の流行時期も一致していた。バングラデシュのウイルス解析は進行中であるが、最も高頻度であったG2ウイルスのVP7遺伝子は、成人と小児の間で98%以上の一致率が認められた。以上の結果は成人と小児の間で同一のロタウイルスが蔓延し、伝播していることを強く示唆した。また中国でのG3ロタウイルスは新規の変異型であると考えられ、今後の分布拡大の動向を継続的に調査する必要があると考えられた。
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Research Products
(4 results)