2006 Fiscal Year Annual Research Report
トリクロロエチレン曝露による全身性皮膚・肝障害の環境・個体要因の解明と予防対策
Project/Area Number |
18406020
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
那須 民江 名古屋大学, 大学院医学系研究科, 教授 (10020794)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上島 通浩 名古屋大学, 大学院医学系研究科, 助教授 (80281070)
柴田 英治 愛知医科大学, 医学部, 助教授 (90206128)
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Keywords | トリクロロエチレン / コホート研究 / 全身性皮膚・肝障害 / ヒトヘルペスウイルス6 / サイトカイン / 個人曝露濃度 / 中国 / 質問紙調査 |
Research Abstract |
中国広東省では、2004年までに死亡者29名を含む208名のトリクロロエチレンによる皮膚・肝障害患者が報告されている。これまでの研究において、これらの患者には、男女差はなく、TRI曝露開始から1ヶ月以内に発生し、環境的要因としてTRIの比較的大量曝露(比較的低濃度x長時間曝露)が、内的要因としてヒトヘルペルウイルス6型(HHV6)の抗体価が高い者多いことが抽出された。しかしTRIと疾病の量-反応関係は依然として不明である。また、HHV6の再活性化も1回のみの測定で、しかも抗体価の測定で判断しているので、HHV6がどのように、どの程度関与しているのか不明である。そこで、本年度からコホートを設定し(一工場あたり約20名のTRI作業者がいるので、50工場を対象とする)、労働者のTRI個人曝露濃度を測定して、職場環境濃度を把握することを計画し、サンプリングを開始した。調査対象工場は深〓の工業団地約50工場(TRI曝露者約2000名)である。コホートの設定が少ない印象を受けるが、中国では永久雇用のスタイルはなく、多くの労働者が数ヶ月の労働で職場を変えていくので交代が激しい。従って、途中交代者を累積すれば、この程度の追跡人口が予測される。また、当該疾病は曝露開始から1ヶ月以内に発症するので、同一作業者は2ヶ月追跡すれば終了となる。コホートの開始時に対象者全員に作業の内容、作業形態、作業時間、休業の状況、自覚症状を問診票で把握することを計画し、スタートさせた。調査開始時と終了時に血液を採取し、サイトカインやHHV6量を測定し、現在採取したサンプルは中国の共同研究機関に保存してある。今年度収集したサンプルの解析はまだ行っていないが、中国でのHHV6の測定の準備は終了し、測定の可能性が確認された。
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Research Products
(2 results)