2007 Fiscal Year Annual Research Report
慢性萎縮性胃炎に及ぼすヘリコバクタ・ピロリ菌の病原性の民族疫学的検討
Project/Area Number |
18406022
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
青木 一雄 Oita University, 医学部, 准教授 (60201282)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
海老根 直之 大分大学, 医学部, 助教 (30404370)
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Keywords | ヘリコバクタ・ピロリ感染 / 胃がん / タンザニア / ドミニカ共和国 / 民族疫学 |
Research Abstract |
ドミニカ共和国(ド国)(平成18年8月にサントドミンゴ市)、及びタンザニア連合共和国(平成18年8月〜9月にキバッハ郡)で実施した上部消化管健康調査の結果説明並びに調査のフォローアップのため、平成19年9月にタンザニア(キバッハ郡)、及び平成20年2月にド国のサントドミンンゴ市に出張した。なお、ド国サントドミンゴ市においては、サントドミンゴ自治大学(UASD)の協力のもと同大学の学生及び教職員340人の協力を得て、同国でのこれまでの上部消化管健康調査の追加調査を実施した。ド国サントドミンゴ自治大学での調査対象者は、主として市街中心部に居住する学生を中心とする男性82名、女性258名、計340名である。調査で得られた血液は、現地にて遠心分離後血清サンプルとして冷凍保存のまま日本に持ち帰り、ヘリコバクタ・ピロリ(H.pylori)抗体、血清ペプシノゲンI、II値、血清ガストリン値を測定した。また、同時に実施したアンケート調査票のデータは、現地、あるいは本邦にてデータ入力、及び確認作業を行い、本邦にて血液検査データと統合した後、分析の用に供した。現在、アンケート調査票(対象者の属性(調査地域、性、年齢)、対象者の生活習慣(喫煙、アルコール飲酒、食習慣、食生活など)、生活環境、上部消化管疾患既往歴、及びそれら疾患に関係する自覚症状の有無など)とヘリコバクタ・ピロリ(H.pylori)感染及び慢性萎縮性胃炎(CAG)との関連性について疫学的に検討を行っているところであるが、これまで行った分析により、以下のような結果を得た。ド国での追加調査におけるヘリコバクタ・ピロリ感染率は、男性(40歳未満、40歳以上)及び女性(40歳未満、40歳以上)において、それぞれ(47.0%、68.8%)、及び(42.3%、43.8%)であり、男性においてのみ年齢階級間の有意な差が見られた。一方、同調査における慢性委縮性胃炎有病率は、男性(40歳未満、40歳以上)及び女性(40歳未満、40歳以上)において、それぞれ(8.2%、20.0%)及び(13.4%、10.0%)であり、ともに有意な差は認められなかった。今後、生活習慣とヘリコバクタ・ピロリ感染、及び慢性萎縮性胃炎の関連について、アンケート調査票で聞き取った食生活や食習慣との関係を含めて、現在詳細に疫学的検討を加えているところである。なお、ヘリコバクタ・ピロリ細菌の病原性の指標になるCagA抗体の測定もタンザニア調査(2006年)、ドミニカ調査(2006年)、さらに今年度実施したド国での追加調査(2008年)の血清サンプルを用いて行っているところであり、これまで実施した保存血清(タンザニア(2001年)、中国(1996年)、及び日本(1993年))の同検査結果(CagA抗体陽性率:タンザニア;89.8%、中国;54.0%、及び日本;63,8%)との比較、検討を行うとともに、生活習慣や生活環境とCagA抗体を含めたヘリコバクタ・ピロリ感染や慢性萎縮性胃炎との関連について検討を行う予定である。
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