2007 Fiscal Year Annual Research Report
マラリア抵抗性及び不完全免疫を支える遺伝生態学的背景
Project/Area Number |
18406025
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
石田 貴文 The University of Tokyo, 大学院・理学系研究科, 准教授 (20184533)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井原 泰雄 東京大学, 大学院・理学系研究科, 講師 (90376533)
清水 華 東京大学, 大学院・医学系研究科, 助教 (80401032)
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Keywords | マラリア / 遺伝的多様性 / インドネシア / 民族 |
Research Abstract |
マラリアと人類の歴史は長く、マラリアはその浸淫地域のヒトゲノム構成に干渉してきたと考えられている。マラリア流行地における適応的現象の1つである不完全免疫(premunition)の成立はよく知られた現象であるが、その機構は未だ解明されていない。本研究では現地調査を基に、不完全免疫成立にかかわる遺伝と生態の寄与を明らかにし、さらに、前者の遺伝的多様性に基づき、抵抗性の来歴とそれら民族の足跡をたどることを目的とする。 収集した試料については、マラリア原虫の有無、及び、遺伝形質の検索をおこなった。3日熱・熱帯熱合わせ、マラリア感染率は、1.9%と抵率を示した。抵抗性遺伝形質と考えられるG6PD欠損、卵形赤血球症のスクリーニングを終了した。228名中9名にG6PD欠損が、27名が卵形赤血球症を示した。このうち、G6PD欠損を惹起する変異型は地域・民族特異性があるので、スンバ島民の出自を探る手がりとして、変異型の同定をおこない、3亜型を確認した。また、遺伝子型に民族・地域特性があるJCウイルスの解析をおこない、スンバ島特有の亜型分布を明らかにした。 一方、スンバにおける配偶者選好を知るため、顔に関する同類婚的傾向と性的刷り込み様効果を調べた。その結果、長期的な関係において、男性では異性親類似顔を魅力的と答えた回数は他の写真と比べて有意に低く、女性では自分類似顔を魅力的と答えた回数は他の写真と比べて有意に低かった。従ってスンバにおいては同類婚的傾向、性的刷り込み様効果は見られず、むしろ自分、異性親に似ていない相手を好むという可能性が示唆された。
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Research Products
(5 results)