2008 Fiscal Year Annual Research Report
マラリア抵抗性及び不完全免疫を支える遺伝生態学的背景
Project/Area Number |
18406025
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
石田 貴文 The University of Tokyo, 大学院・理学系研究科, 准教授 (20184533)
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Keywords | マラリア / 社会構造 / 民族移動 / 遺伝的多様性 / 適応 |
Research Abstract |
マラリアと人類の係わりは長く、マラリアはその浸淫地域のヒトゲノム構成に干渉してきたと考えられている。マラリア流行地における適応的現象の1つである不完全免疫の成立は良く知られた現象であるが、その機構は未だ解明されていない。本研究では現地調査を基に、不完全免疫成立にかかわる背景を明らかに知ることを最終目的とした。また、調査地域の民族の来歴についても明らかにする.ことで、抵抗形質の由来にも言及したいと考えている。 スンバ島現地調査で収集された健常者の試料について、G6PD、バンド3、ヘモグロビンE、異常ヘモグロビン症、マラリア原虫の検索をおこなった。マラリア関連形質であるG6PD欠損は7.5%、欠失バンド3は12%、異常ヘモグロビン症は25%に達していた。ヘモグロビンEの頻度は0.17であった。原虫保有者は、熱帯熱マラリア2%、三日熱マラリア1.8%と低いながらも不完全免疫の状態を示唆していた。 変異G6PDについては塩基配列の解析をおこないanuaLavaとViangchanを同定し、スンバ島民の予想される来歴を支持する結果がえられた。 一方、特異な婚姻体系を示すスンバにおいて、配偶者選択に関連した、選好性について調べた。その結果、自分あるいは異性親の類似顔を避ける傾向にあることがわかった。
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