ベトナム戦争による枯葉剤が先天異常ならびに腫瘍発症に及ぼす影響に関する調査

2007 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 18406036
• Research Institution: Aichi Gakuin University
• Principal Investigator: 新美 照幸 Aichi Gakuin University, 歯学部, 講師 (60291762)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 平原 史樹 横浜市立大学, 大学院・医学研究科, 教授 (30201734) ; 後藤 昌昭 佐賀大学, 医学部, 教授 (10145211) ; 吉川 史隆 名古屋大学, 医学系研究科, 教授 (40224985) ; 井箟 一彦 名古屋大学, 医学部付属病院, 講師 (60303640) ; 夏目 長門 愛知学院大学, 歯学部, 教授 (90183532)
• Keywords: ベトナム社会主義共和国 / 枯葉剤 / 先天異常 / 口唇口蓋裂 / 絨毛癌

Research Abstract

昨年度と同様にベンチェ省の人民委員会、医療局、児童保護育成委員会、グエンディンチュー病院の関係者と事前の打ち合わせを行い、平成19年12月にベトナムへ渡航。先天異常に関しては、口唇口蓋裂の他、斜顔裂、鰓弓症候群等の患者を診察し、顎の状態の記録として印象採得を行い、石膏模型を作製した。また昨年度までに得られたデータを解析し、各年の口唇口蓋裂児出生率を分析した結果、1993年は0.320%であった出生率は2006年では0.112%と、低下傾向にあった。また、1990年代と2000年代の出生率を比較した結果では、統計学的に有意な差が認められ、ベンチェ省での口唇口蓋裂児出生率は低下したことが明らかとなった。この結果は、枯葉剤第2、第3世代と言われる人の口唇口蓋裂発生頻度の低減を意味するものであり、2008年5月の日本口蓋裂学会にて発表予定である。腫瘍(絨毛癌)に関しては、グエンディンチュー病院、ツーズー病院にて病院長、産婦人科部長等と面談を行い、絨毛性疾患患者の登録状況、HCGのスクリーニングシステム等についての現状報告を受け、調査に対するさらなる協力を依頼した。また各病院で医師、助産師、看護師を対象に、胞状奇胎および絨毛癌の講義を行った。その中で、2次病院であるグエンディンチュー病院、3次病院であるツーズー病院と比較し1次病院である郡の病院ではHCGのフォローアップシステムが十分機能していない可能性が指摘されたため、ベンチェ省の郡病院のひとつであるクーラオミン病院を訪問し、病院長、産婦人科部長と面談。絨毛性疾患患者の登録状況につき説明を受けた。胞状奇胎に関しては、緊急時を除き治療は行わず、グエンディンチュー病院に紹介しており、独自の登録が十分でないとのことであったため、絨毛癌予防のためにHCGのフォローアップが重要であることを説明し、絨毛性疾患患者登録の徹底や調査協力について依頼した。