2007 Fiscal Year Annual Research Report
古典/量子情報系における十分性と指数型分布族の新たな展開
Project/Area Number |
18500007
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Research Institution | The University of Electro-Communications |
Principal Investigator |
長岡 浩司 The University of Electro-Communications, 大学院・情報システム学研究科 (80192235)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤原 彰夫 大阪大学, 大学院・理学研究科, 教授 (30251359)
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Keywords | 量子情報理論 / 情報幾何学 / ボルツマンマシン / 平均場近似 |
Research Abstract |
今年度の主たる研究成果は量子ボルツマンマシンの情報幾何学的構造に関するものである(電気通信大学大学院情報システム学研究科学生Nihal Yapageとの共同研究)。ボルツマンマシンとは確率的動作を行うニューラルネットワークモデルの一種であり、その平衡確率分布が指数型分布族を成すという事実から多くの有用な性質が導かれる。本研究では、ボルツマンマシンの平衡分布に類似した表現を持つ量子状態の族を考え、それをボルツマンマシンの量子力学版とみなす立場からその性質を調べた。まず、このような量子状態の全体が一種の「量子指数型分布族」を成すことに注目し、その情報幾何学的構造を明らかにした。量子状態空間上に導入される無数の情報幾何構造のうち、ここで用いたものはBKM計量および量子相対エントロピーにもとづくものであり、古典情報幾何の場合と同様な双対平坦性を有する。続いて、この構造のもとで量子ボルツマンマシンのナイーブ平均場近似およびその漸近的改善法であるPelfka展開について考察を行った。特に、Pelfka展開の係数が計量や接続などの情報幾何学的構造によって表されることを明らかにした。これらの成果は論文(N.Yapage and H. Nagaoka, J. Phys. A)に発表された。 この他の成果としては、仮説検定の立場から量子通信路容量を達成する符号の構成法を示した論文(T. Ogawa and H. Nagaoka, IEEE Trans. Inform. Theory)が出版された。
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