2006 Fiscal Year Annual Research Report
公開鍵暗号用の算術技法における安全性を考慮した効率解析と応用
Project/Area Number |
18500015
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Future University-Hakodate |
Principal Investigator |
高木 剛 公立はこだて未来大学, システム情報科学部, 助教授 (60404802)
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Keywords | 情報基礎 / 暗号・認証等 / アルゴリズム / セキュア・ネットワーク / 高速実装 |
Research Abstract |
本年度は、以下の課題に関して研究を進めた。 (1)Koblitz曲線を用いた楕円曲線暗号の高速実装方法を提案した。標数2の有限体で定義されるKoblitz曲線は組込み機器向けの実装に適しているが、サイドチャンネル攻撃に対する防御方法を考察する必要がある。ある虚二次体の元を、秘密鍵の情報によらない固定パターンに展開するτ進数表現を提案した。 (2)公開鍵暗号を実装する群の平方算と乗算は秘密鍵のビット情報に対応しているため、通常は乗算器のみを利用した算術実装を行う。本研究では、乗算器に同じ値を入力した場合の消費電力が、通常の乗算と異なることを実験により実証した。サイドチャンネル攻撃に対して安全な公開鍵暗号用算術の新たな設計基準となる。 (3)高速な公開鍵暗号方式として知られているXTRの高速化アルゴリズムを提案した。整数の標準2進展開とは異なり、XTRは特別な加算鎖を利用して冪乗算を計算する。本研究では、拡張ユークリッド互除法を改良し固定パターンを有するXTR加算鎖を構成した。 (4)RSA暗号を高速化する手法として、中国人剰余定理を利用したRSA-CRT法が知られている。本研究では、現在にまでに提案されているRSA-CRT法及びそれらに対するサイドチャンネル攻撃のサーベイを中心に行った。 (5)次世代暗号として注目を集めているペアリング暗号に対するサイドチャンネル攻撃について考察した。楕円曲線暗号の標準的な防御法である射影座標を利用したランダム化法をペアリング暗号に適応した。現在までに提案されている方式と比較してオーバーヘッドが最も少ない方式である。 (6)双線形性ペアリングの計算では、最終冪と呼ばれる部分が全体の25%近くの計算量を必要とする。本論文では、標数3の有限体上の超特異曲線を利用したペアリングの最終冪部分を、トーラス群T2の構造を利用することにより50%高速化するアルゴリズムを提案した。
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