2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18500049
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Research Institution | Japan Advanced Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
林 幸雄 Japan Advanced Institute of Science and Technology, 知識科学研究科, 准教授 (70293397)
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Keywords | 結合耐性 / 自己組織化 / ルーティング / 地理的空間 / 無線通信網 |
Research Abstract |
災害時の故障やテロ攻撃でも分断されにくい通信網の構築と、現実的な地理的空間上のネットワークに適した方策を探るため、近未来のアドホック通信への応用を念頭とした基盤技術となり得る自律分散的なネットワークの設計原理を、トポロジー特性、耐故障性、ルーティングの効率性等に着目したアルゴリズム的な観点から検討した。 ・地理的空間上でのスケールフリー(SF)ネットワークの脆弱性の改善法として、少量のランダムなショートカットの追加がハブ攻撃で分断されたクラスタを橋渡しするのみならず、多くのパケットを流す主要経路としても寄与することを定量的に明らかにした(国際学術論文1件)。 ・上記よりも耐故障性が高い幾何学的なネットワーク構築法を新たに提案して、実際の人口分布に従ったノード(無線基地局)配置から、リンク長や最短経路長、及び、分散ルーテイング法に関する優れた特性を示した(国際学術論文1件+国内外研究会各1件)。 ・SFネットワーク上の局所情報による確率的ルーティング法に着目して、平均パケット転送時間や待ち時間を最小化する際のパラメータに依存した経路ホップ数とキューへのトラップに関するトレードオフを発見した。特に、ノードの転送能力が低い時は、ハブを経由して経路を短くしても渋滞する反面、ハブ回避の長い迂回路でも時間がかかり、それらの中間的なランダムな経路選択がむしろ得策となることも示した(国際会議1件)。 ・既存ツールでは対処できない大規模複雑な分析について、独自のプラットホームを整備してきた。中でも、JavaRMI分散処理で計算の効率化が図れる点と、ネットワーク耐故障性やパケット転送特性などの解析が行える点がユニークで、今後は研究コミュニティを中心に共同開発していくことを検討中(国内研究発表2件)。 また、この新分野の国内外の研究動向を学会誌や科学雑誌にも紹介して、最終年度のまとめを行った。
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