P2Pネットワークにおけるマルチオブジェクトビデオ配送機構の開発と評価

2006 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 18500051
• Research Category: Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
• Research Institution: Shiga University
• Principal Investigator: 森 將豪 滋賀大学, 経済学部, 教授 (90024942)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 柴田 直樹 滋賀大学, 経済学部, 助教授 (40335477)
• Keywords: ネットワーク / ビデオマルチキャスト / トランスコード / QoS

Research Abstract

異なる品質で同じビデオの配送を要求する多数のユーザに対して,各ユーザノードにトランスコードを行わせて中継させることで,効率よくビデオを同時配信するMTcast (Multiple Transcode-based video multicast)と呼ぶ方法を提案している.各ユーザ(ビデオ受信者)は各自の環境の制約に基づいて決定した要求品質を指定してビデオの配送を要求する.各ユーザに対して,全ユーザの要求品質を考慮して構成される配送木に沿って,指定された品質に近いビデオが配送される.MTcastの特長は,その拡張可能性,受信品質に対するユーザの高い満足度,配送開始待ち時間の短さ,ノードの故障に対する耐頑強性,にある.
提案手法では,拡張可能性と高い満足度を実現するために,根がビデオコンテンツの送信源となるトランスコード木と呼ばれる配送木を変形完全n分木として構成している.ここでは,より高い品質要求を持つユーザノードは木の根近くに,そしてより低い品質要求を持つユーザノードは葉近くに位置する.ノードは,それらの計算パワー,利用可能な下流及び上流の帯域幅にしたがって配置される.木の中の各ノードは,ビデオストリームを受信し,それをリアルタイムでより低い品質にトランスコードして子ノードへと配信する.一方,短い配送開始待ち時間や耐頑強性を実現するために,ノードは同様の要求品質を持つ複数個のノードからなるレイヤーと呼ぶグループに類別される.レイヤー中の全てのノードはそれらの親からトランスコード木に沿って同一品質のビデオを受信する.ここで,各レイヤーの代表ノードにその木の完全な情報を保持させることにより,(参入する)新しい受信者が自分の要求品質に最も近い品質を持つレイヤーを見つけることを容易にするとともに,ビデオの配送開始のためにそのレイヤーのノードに要求を迅速に送信することを容易にしている.現在,得られた知見をPlanet Lab上でシミュレーションしつつある.