Research Abstract |
1つのサーバから複数の携帯端末へインターネット・無線アクセスポイントを介してビデオストリーミングをマルチキャスト配信する方式を検討した。この際,考慮すべき事柄として,(1)携帯端末の画面サイズ,計算能力,バッテリ残量,通信速度等の制約のもとで,各端末が受信するビデオの品質を決定できること,(2)ビデオ再生中に利用者は随時品質の変更要求が可能なこと,(3)利用者の要求に近い品質のビデオが配信可能なこと,(4)端末の移動に伴なう無線アクセスポイントの変更に対応して,シームレスにビデオ再生が継続できること,(5)コンテンツ配信ネットワーク(CDN)の利用可能リソースの制約のもとで効率的にリソースを使用すること,がある。 本研究では,上記(1)と(3)を実現するため,配信ネットワーク中にプロクシを置き,プロクシ上でトランスコードサービスを実行し,ビデオの品質を変換する。また,各プロクシは他のプロクシや携帯端末への中継サービスも行う。このとき,上記(5)を実現するため,CDNが消費するリソース量をできるだけ少なくするように,各プロクシの入出力品質,および,サーバ,プロクシ,利用者端末間の接続パスを決定するアルゴリズムを考案した。次に,上記(2)を実現するため,各利用者が要求する品質に合わせて定期的に配送経路を再構築するためのプロトコルを設計した。さらに,上記(4)を実現するため,ある端末のアクセスポイントが切り替わった際,切り替え後のアクセスポイントを担当するフロクシが,現在配信しているビデオの品質の中から要求に最も近いものを一時的に配信することで対応した。 シミュレーションによる評価により,本研究での提案方式で求めたビデオ配送経路が,利用者の希望再生品質を満たしつつ,CDNの消費リソース量を少なく抑えられることを確認した。さらに,実県境下での評価により,本研究での提案方式がアルゴリズムの実行も含めて,実用上ほぼ問題がない程度の遅延時間でビデオストリーミングの配信を開始できることを確認した。
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