Research Abstract |
本課題では,従来型の映像やサウンドメディアに加えて,仮想物体に触(さわ)って操作することが可能な触力覚インタフェースを統合化することで,現実感のあるユビキタス複合現実空間(Ubiquitous Mixed Reality ; UMR)を構築することを目的として研究開発を行っている。平成18年度は,下記の要素技術の研究開発とシステム化,および実験・評価を行った。 1.現実感のある触感の描出・最適化機能の設計と実装 触力覚メディアを利用する際に必要となる装置特有のチューニング処理を,工学を専門としない利用者が直観的かつ容易に行うことができる手法を設計・開発した。特に,仮想物体の硬さや柔らかさ,物体表面のざらつきや滑らかさなどの触感描出を対話型進化計算法に基づいて最適化するシステムを実現した。 2.触力覚メディアの遠隔共有とそのための通信プロトコルの設計と実装 触力覚メディアを遠隔共有するための基盤技術として,(1)触力覚装置から入力される利用者の手の動作パターンを遅延の大きなインターネット環境で「ゆらぎ」なしに遠隔転送する手法,および(2)パケット損失発生時でも推測航法(dead reckoning)を用いて遠隔利用者の力覚情報を継続して算出・描画する手法を設計・開発した。 3.応用システムの開発と実験システムの構築 遠隔地の利用者が協同で3次元モデルの操作を行ったり,ネットワーク上で握手をしたりすることが可能な応用システムを開発した。また,両システムを日韓高速網上で利用できるようにして,1.および2.で開発した機能の有効性と処理性能について実証的に評価・検証を行った。 4.実験・評価と研究の中間まとめ 上記の研究開発内容と3.の実験・評価結果をまとめて,IEEE SMC2006(台湾,10月),VSMM2007(中国,10月),FCV2007(韓国,2007年1月)等の国際会議FIT等の国内学会,および知能情報ファジィ学会誌で成果発表を行い,専門家からのレビューを受けるとともに,機能強化のための意見や示唆を聴取した。
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