Research Abstract |
本年度は,基本機能の構築に重点を置き,下記の2項目を中心に研究を推進. (1)時刻同期プロトコル ネットワークを構成する上で最も基本となるセンサノード間の時刻同期を自律分散的に行うプロトコルを考案.本プロトコルは,マルチキャスト木を構成し効率的な情報交換を行って,時刻同期を速やかに実現するだけでなく,同期元ノード(タイムマスタ:TM)が消失しても,自律的に別ノードがTMとなり,同期を維持し続ける特徴を有する.シミュレーションにより,その有効性を確認した.結果は,情報処理学会全国大会(2007.3)で発表.また,本研究を進めるにあたり,センサネットワーク用の汎用ソフトウエアシミュレータを独自開発.外販も視野に入れ,機能拡張予定. (2)動的センサ機能割り当て法 (a)彩色問題(隣同士を有限の異なる色で塗り分ける問題)を解く分散アルゴリズムに基づき,各センサノードが,自律的に隣接ノード同士が異なるセンサ機能を分担するように動作するアルゴリズムを考案.既存手法に比べ,収束が速くしかも効率的なセンサ機能割り当てが実現できることを,シミュレーションにより確認.これにより,センシングに直接参加するセンサノード数を減らし,多くのノードをスリープ状態にすることが可能.これは,スリープ状態のノードを使い回すことができることを意味し,ネットワーク全体のライフタイムを延長する効果を生む.結果は,情報処理学会全国大会(2007.3)で発表. (b)別手法として,センサ機能割り当てを組合せ最適化問題として定式化し,二分決定グラフ(BDD)を用いて全ての最適解と可能解を現実的な時間で解く方法を考案.本方法では,300程度のセンサであれば,5秒以内に全ての最適解と可能解を同時に求めることができ,実システムにも適用できる性能であることを確認,結果は,国際会議ACM MidSens06(2006.11)で発表.
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