2006 Fiscal Year Annual Research Report
ネットワークを活用した視覚障害者支援システムの構築
Project/Area Number |
18500087
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
藤村 直美 九州大学, 芸術工学研究院, 教授 (40117239)
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Keywords | 情報システム / 視覚障害者 / ユーザインターフェイス / インターネット |
Research Abstract |
本研究では、視覚障害者が日常生活において視覚に起因する問題に遭遇した時に、健常者がネットワークを介して視覚障害者の目の代わりを務めることができるシステムを構築し、多数の協調したボランティア(健常者)が本システムを利用して視覚障害者を支援できる仕組みを構築することを目的としている。 平成18年度は、視覚障害者とボランティアを音声と画像でつなぐための基本的なシステムの構築と実用性の検証を行った。具体的には次のとおりである。 1.充電池で駆動するように改造したWebカメラとブルーツースのイヤホンマイクを接続した小型のパソコン(バイオノートTYPE U)を無線LANでネットワークに接続して画像と音声の通信を実現した。 2.健常者に目隠しをしてもらった状態で機器の利用可能性の検証を行い、支障なく使えることを確認した。 3.2名の視覚障害者に本システムを利用してもらい、離れた部屋への移動と文書の読み上げという二つのタスクを実行してもらい、視覚障害者でも実際に使えることを確認した。その際に、細かな利用者インターフェイスに関するフィードバックを得ることができた。 4.都合のつく時間帯を自主申告している複数のボランティアと視覚障害者の通信を調整するためのサーバを構築し、実際にこれで視覚障害者が複数のボランティアから任意の一名を選択して、支援を依頼できるようにした。 これらの実験を通じて、本システムは十分に実用になるものであることを確認できた。また支援するボランティアの選択方法などに関する新しい知見(プライバシー、利用可能時間など)も得られた。 今後の課題として、現在は無線LANの親機を中心に移動が一定範囲に制限されているが、この制限を緩和するための仕組み、ボランティアが都合のよい時間帯を超えて複数のボランティアが一人の視覚障害者を継続して支援可能にする仕組みの実現など、さらなる実用化に向けて検討と検証を行う予定である。
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