Research Abstract |
本研究の目的は,従来,その利便性のみが議論されてきた公共空間におけるロケーションアウェアサービスを対象に,現在位置や移動履歴を望まない第三者から隠蔽する権利,すなわち,ロケーションプライバシの問題を取り上げ,その保護機構および位置匿名化アルゴリズムを示すとともに,実システム上での評価実験を通して,様々な条件下での,基本性能(運用性),安全性,ユーザビリティ,の各指標を示し,提案アルゴリズムの有効性を実証的に検証することにある.本研究計画の最終年度となる平成20年度は,位置匿名化アルゴリズムおよびロケーションプライバシ保護アーキテクチャの完成度を高めるとともに,より広範囲,より複雑な条件下での実証実験を行った.具体的には,本研究課題で設定した目標の達成を検証するための統合評価環境として,屋内,屋外両プラットフォームならびに各種テストベッドで統一的に利用可能なベンチマークフレームワークを設計,実装した.実験プラットフォームをキャンパス規模に拡大,同実験プラットフォーム上に上記ベンチマークフレームワークを構築し,より複雑な条件下での実証実験を通して,他手法との性能面での比較評価を行い,提案アーキテクチャの有効性を実証的に検証した.本研究で検討した方式を統合的に評価,検証することで,GPS等によるポジショニング法主体の屋外型位置取得インフラストラクチャと,RF-ID等によるトラッキング法主体の屋内型位置取得インフラストラクチャの両者を,シームレスに支援可能なロケーションプライバシ保護環境を構築し,実用的な技術水準に到達することが可能となる目処が立った.
|