2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18500109
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | The University of Electro-Communications |
Principal Investigator |
西野 哲朗 電気通信大学, 電気通信学部, 教授 (10198484)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
笹原 和俊 独立行政法人理化学研究所, 脳科学総合研究センター, 研究員 (60415172)
高橋 美樹 独立行政法人理化学研究所, 脳科学総合研究センター, リサーチアソシエイト (90415216)
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Keywords | 鳥の歌文法 / 音声言語 / 言語獲得 / 計算論敵学習理論 / 音素自動抽出 / ノイズ除去 |
Research Abstract |
ある種の鳥は、「歌」や「さえずり」と呼ばれる、複数の音節からなる比較的長い音声を発する。これらの鳥の歌の発達過程と、人の幼児の音声言語の発達過程には、脳科学的な共通点が多く、また、人間の脳では行えない生体実験も、鳥では可能であるといった理由から、近年、この方面の研究が盛んに行われている。そのような鳥の歌の研究のなかでも、ジュウシマツを使った研究においては大変興味深い成果が得られている。ジュウシマツの歌は他の鳥に比べてかなり複雑であり、その文法が正則文法で記述できることが指摘されているからである。そこで本研究では、この方面の研究をさらに推進するために、計算論的手法を用いて、歌の音素列からジュウシマツの歌文法を自動抽出し、その構造を解析するための方法論を確立することを目標とする。 そのために、本申請における研究では、チャンクと呼ばれる、歌のなかでひと塊で歌われる音素の集合に着目し、計算論的学習理論の手法を用いてジュウシマツの歌文法の自動抽出を行う。具体的には、チャンクおよび歌文法を自動的に抽出するために、音素列を入力として、チャンク単位で状態遷移を行うk可逆オートマトンを生成する歌文法の自動抽出システムを実現する。また、このシステムを用いて実際のジュウシマツの歌文法を抽出し、その構造を解析することで、動物行動学への貢献も目指す。その目的の達成をめざして、今年度は、特に、以下のことを実現した。 1.音素の自動抽出:ジュウシマツのソナグラムからの、音素の切り出しを自動化した。具体的には、Wiener entropyや、frequencymoduration等の特徴量を用いた音素の切り出し法や、音素のクラスタリング手法を確立し、その結果を用いて、音素の自動抽出プログラムを完成させた。 2.歌に含まれるノイズの除去:音素問の状態遷移確率を計算し、ある設定値以下の遷移をノイズとして削除した。また、音素間の遷移だけでなく、データの末尾であることも遷移の一つと考えることにより、歌を途中で止めてしまったというノイズにも対応できるようにした。
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Research Products
(4 results)