2006 Fiscal Year Annual Research Report
円滑なコミュニケーション形成に関わる感性情報の心理学的研究
Project/Area Number |
18500162
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
中村 敏枝 大阪大学, 人間科学研究科, 教授 (00029688)
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Keywords | 円滑なコミュニケーション / 感性情報 / 時系列的変化 / 対人認知 / 呼吸測定 / 音響特性 / 身体動作 / 同調傾向 |
Research Abstract |
社会生活を営むわれわれにとって、意思を他者にうまく伝達し対人関係を円滑に保つことは、極めて重大な適応課題である。コミュニケーションにおいては、言語のもつ論理情報のほかに感性情報の伝達が果たす役割は大きい。本研究の目的は、感性情報を多面的総合的に捉え、相互作用と時系列的変動を考慮に入れたダイナミックな検討を行うことによって、コミュニケーションを円滑に進行させる感性情報の役割について定量的モデルを構成することである。今年度の研究内容と成果は次の通りである。 1.発話によるコミュニケーション 対話においては、2者の感性情報の相互作用が加わり、コミュニケーションは複雑なものとなる。相互作用の時系列的変化の影響をはじめとして、円滑な対話に関わる感性情報のダイナミックな役割を総合的に捉えるために実験を行った。実験状況は対面対話と非対面対話の2条件とした。対話の満足度、相手話者に対する対人認知など、対話者の主観的測定を行うとともに、生体計測システムによる呼吸測定を行った。対話音声の物理的測定に基づく音響特性もあわせた膨大な量となる時系列データによって、測定結果の関係性を検討し、円滑な対話に関わる感性情報の役割についてモデルを構成するための示唆を得ることができた。 2.演奏によるコミュニケーション 音声によるコミュニケーションは言葉の有する論理情報が関わるために、感性情報の影響を純粋に捉えることが難しい。また、コントロール刺激を用いて法則性を追及する実験は実施が困難である。この問題を解決するには、音楽演奏によるコミュニケーション事態で行う実験が有効である。上記発話実験における測定のほかに身体動作や身体反応の測定、情動測定も加えて実験を行った。同調傾向の重要性や音響特性との関係など上記発話実験で得られた結果をより詳細に確認でき、来年度の研究計画であるモデル構築のために必要な多量の定量的成果を得ることができた。
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