2007 Fiscal Year Annual Research Report
円滑なコミュニケーション形成に関わる感性情報の心理学的研究
Project/Area Number |
18500162
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
中村 敏枝 Osaka University, 人間科学研究科, 教授 (00029688)
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Keywords | 円滑なコミュニケーション / 感性情報 / 時系列的変化 / 情動測定 / 呼吸測定 / 音響特性 / 身体動作 / 身体反応 |
Research Abstract |
社会生活を営むわれわれにとって、意思を他者にうまく伝達し対人関係を円滑に保つことは、極めて重大な適応課題である。コミュニケーションにおいては、言語のもつ論理情報のほかに感性情報の伝達が果たす役割は大きい。本研究の目的は、感性情報を多面的総合的に捉え、相互作用と時系列的変動を考慮に入れたダイナミックな検討を行うことによって、コミュニケーションを円滑に進行させる感性情報の役割について追究することである。前年度からの継続実験も含めて実施した今年度の研究内容と成果は次の通りである。 1. 発話によるコミュニケーション 対話においては、2者の感性情報の相互作用が加わり、コミュニケーションは複雑なものとなる。相互作用の時系列的変化の影響をはじめとして、円滑な対話に関わる感性情報のダイナミックな役割を総合的に捉えるために実験を行った。測定結果の関係性を検討し、円滑な対話に関わる感性情報の役割について定量的データを得ることができた。 2. 演奏によるコミュニケーション 音声によるコミュニケーションは言葉の有する論理情報が関わるために、感性情報の影響を純粋に捉えることが難しい。また、コントロール刺激を用いて法則性を追及する実験は実施が困難である。この問題を解決するには、音楽演奏によるコミュニケーション事態で行う実験が有効である。情報の与え手と受け手の間の円滑な意図の伝達における感性情報の影響を調べる実験を行った。すなわち、情動測定、生体計測システムによる呼吸測定、身体動作や身体反応の測定、音響特性の測定である。実験の結果得た、膨大な量となる時系列データを分析し、諸学会において報告した。 3.円滑なコミュニケーションを形成する感性情報のモデル構築に向けて 本研究によって得た実験データをはじめ以前のデータを集大成し、最終的なモデル構築に向けた試作を行った。
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