Research Abstract |
これまでの評価実験で寒色系壁面を連続提示(45秒間)した場合,最終ピリオド(30-45秒)で評価値が急落することが確認された.その原因の究明と加法形モデルの適用妥当性の検証を行うために以下の検討を行った. 1.適用妥当性の判別方法 加法形モデル適用妥当性の判別方法を提案するために加法的可解性を利用する.いま,動画像刺激を各時間ピリオドの構成要素の列で表す.記号c,w,fは寒色系壁面,暖色系壁面,植栽有りを意味する.c〓fは寒色系壁面に適当な植栽が付加されることを意味する.植栽の付加が選好を幾らでも高められるものとすると,寒色系壁面を連続提示した場合,ピリオド2,3で加法形モデルが適用されるためには次の無差別関係が成立しなければならない. (c,c〓f)〜(c,w),(c,c,c〓f)〜(c,c,w). 第一式のピリオド1のcをwに,第二式のピリオド1,2のcをwに置き換えれば暖色系連続提示に関する判別条件になる. 2.適用妥当性と評価値急落の原因究明 建物壁面色彩2水準(寒色系,暖色系)と植栽2水準(有,無)を組み合わせた動画像刺激を作成し,ピリオド2(15-30秒)とピリオド3(30-45秒)で上の適用条件の成否を確認した.その結果,次のような知見が得られた. (1)暖色系の連続提示では,ピリオド2でもピリオド3でも加法形モデルの適用は認められる. (2)寒色系の連続提示では,ピリオド2でもピリオド3でも加法形モデルの適用は認められない. (3)寒色系の連続提示では暖かさ感が提示時間に比例して減少し,このことがピリオド3での望ましさの急降下に繋がったと考えられる.すなわち,ピリオド間に相互作用が存在するため加法形モデルの適用は不可能になる. 3.形態変化の影響分析 建物に街並みの統一感を損なわない程度の形態変化を与えると上の評価値急落は抑えられる.しかし,形態変化より色彩変化の方が評価値に与える影響は大きい.
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