2006 Fiscal Year Annual Research Report
確率的空間埋込法とガウス型大域的最適化の統合によるタンパク質立体構造推定
Project/Area Number |
18500172
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
土居 伸二 大阪大学, 大学院工学研究科, 助教授 (50217600)
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Keywords | 距離幾何問題 / 大域的最適化 / 確率アルゴリズム / タンパク質立体構造 |
Research Abstract |
本研究では,「一般」Distance Geometry問題を考察した:原子間距離データが部分的な原子対にしか与えられておらず,また正確な距離データではなく,ある幅を持ったデータ(上下限)として与えられる場合に,その原子座標(分子構造)を如何に決定するかについて詳細な検討を行った.本年度は具体的に以下の成果を上げた: ・確率的近接データ埋込法(SPE : Stochastic Proximity Embedding)を一般Distance Geometry問題に適用可能なように拡張を行った.特に,上下限値の取り扱いや確率的近接データ埋込法における近傍半径値の取り扱い方法を工夫した. ・実際に,既知のタンパク質であるインスリンデータを用いて計算機実験を行い,提案手法が正しく動くことを確認した. ・より正確な分子構造決定を行うために,大幅な拡張方法を提案した:2点の座標ではなく,3点の座標を同時に更新する学習アルゴリズムを提案した.このアルゴリズムの部分修正版を3種類提案し(三角形の長辺と重心を保存する方法,放射状に3点を動かす方法,重心を保存かつ2乗平均誤差を最小にする方法),同様の計算機実験により詳細な性能比較を行うことで提案手法の有効性を確認した. ・上下限データが確率的に分布している場合の検討を正規分布と一様分布に対して行った.このような条件下では,分子構造決定は全体としては困難になるが,提案手法はこの悪条件下でも正しく機能することを確認した. ・2時関数型とガウス型目的関数を用いた大域的最適化方法(ガウス変換を用いる)と確率的近接データ埋込法に基づく我々の提案手法の性能比較を行い,分子構造決定の正確さ及び計算効率の両方において,提案手法が優れていることを確認した. 平成19年度は,更なるアルゴリズムの改良を試みる.また,Protein Data Bank(PDB)に収められている蛋白質の中で,さらに大きなものに対しての実験も行う.
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