Research Abstract |
複数の学習タスクが逐次的に与えられる問題は,マルチタスク学習と呼ばれる.この学習問題で重要となる能力は,特定タスクで獲得した知識の一部を,それに類似したタスクの学習に利用することで,より少ない学習サンプルで新しいタスクの学習を達成する能力である.これは「知識移転」と呼ばれ,学習タスクおよび学習サンプルが逐次的に与えられる環境では,有効なモデルはまだ提案されていない.本研究では,パターン認識問題への適用を試みるため,新しい学習モデルの構築を行った.具体的には,逐次的に与えられる学習サンプルから自動的にタスク変動を行い,新しいタスクが検知されると追加学習可能なラジアル基底関数ネットを生成し,以前に学習したタスクに対しては,該当するラジアル基底関数ネットを想起して追加学習を行うマルチモジュール・ニューラルネット・モデルを構築した.知識移転は,「同一クラスのデータは局所的に連続して存在する」というパターン認識問題の特性を活かした方式を考案した.人工データおよび機械学習分野で標準的に使われているベンチマークデータ(UCI Machine Learning Repository)をマルチタスク問題に改変し,タスク変動検知精度,クラス識別精度,タスク分類精度を調べた.その結果,知識移転を導入しないモデルに比べて,少ない学習サンプルで一定の性能が得られることを確認し,提案した知識移転方式が有効であることを示した.また,適切なパラメータを設定することで,タスク変動検知がほぼ100%となり,タスク分類も正確に行われることを示した. 本研究は,米国アリゾナ州立大学のAsim Roy教授,Dmitri Roussinov助教授との共同研究であり,本年度は,計3回アリゾナ州立大学を訪問し,上記のモデル構築および評価結果について議論を行った.また,この研究成果を外国雑誌に投稿するため,現在,論文原稿を共同で執筆中である.
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