Research Abstract |
本研究の目的は,任意画像を任意倍率で,かつ実時間で高画質な拡大画像を得ることの出来る高品質・高速画像拡大法の開発である. 平成20年度は,18.19年度に開発した自己縮小画像コードブックとサポートベクトルマシンを用いた画像拡大法の精緻化,ならびにその改良に注力した.具体的には,まず,標準画像データベース中の種々の画像に対し適用し,画質,及び計算時間の観点から方法論に関する検討,考察を再度行った.この結果については,前年度に発表した国際会議(IMECS2007)の中から優れた論文のみを選定し編集されたEdited Bookの中に収められている.また,18年度に開発した手法では,低解像度の画像成分から高解像度の画像成分を写像することによって,拡大画像,すなわち高解像度画像を得ていたが,この手法では,比較的良好に画像を拡大することができるものの,画質の点で更なる改善の余地があった.そこで,19年度は画質の向上を考え,被拡大画像自身とその画像を縮小した画像から構成された低周波成分と高周波成分の関係を記述するコードブックにおけるパターン照合処理において,新たにマハラノビス汎距離なる距離概念を導入した.結果として,従来法と比較して高品質な拡大画像を得ることに成功した.この画像拡大法に関し,2007年12月にオーストラリアで開催されたDigital Image Computing Technique and Application (DICTA2007)国際会議において発表論文として公表した. さらに本研究のまとめとして,カラー画像,並びに動画像への応用を念頭に,既存の画像拡大法について,引き続き国内外の研究動向を調査し、その結果をImage and Vision Computing,Vol.27,pp.684-693,2009において出版物として公表した.今後は,カラーの動画像へ実時間で応用可能な方法の開発を行う.
|