2008 Fiscal Year Annual Research Report
機械学習の手法による非線形複雑系の動的解析とシミュレーション科学への応用
Project/Area Number |
18500184
|
Research Institution | The Institute of Statistical Mathematics |
Principal Investigator |
伊庭 幸人 The Institute of Statistical Mathematics, モデリング研究系, 准教授 (30213200)
|
Keywords | 機械学習 / カーネル法 / 非線形 / 時系列 / マルコフ連鎖 |
Research Abstract |
本課題では,動的な現象に対するカーネル法の応用として,データの時系列のみから,背後に仮定した高次元のマルコフ連鎖の重要な固有値・固有モードを,最小限の仮定のもとで推定する方法を研究する.提案した手法の数値計算は一般化固有値問題に帰着されるが,グラム行列の固有値の大半がゼロのまわりに集積するために,安定した結果を得るためには計算法に工夫が必要である.昨年までは,カーネル主成分分析に対応する固有値問題を解いて,計算精度内で零と異なる固有値に対応する固有空間に射影することで計算を行っていたが.この部分の計算量が多いため,データ数が500〜1000程度を超えると計算時間が過大となる傾向がみられた.今回はカーネル正準相関分析などで使われている「ピボット選択付きの不完全コレスキー分解」を用いて実装することで,計算速度が大幅に改良され,また人間が介入せずに安定した結果が得られるようになった.この結果は物理学会で発表した. 本年度は過去の年度の研究途上で派生したテーマである「ガウス過程を仮定したときの事後分布からのサンプリング法」についても研究を行った.実装の過程で,この問題においても,グラム行列の零に近い固有値による数値計算上の問題が発生することが判明した.これについても,上と同様に不完全コレスキー分解を用いて対処することができるが,確率変数を変換することで,より根本的な対策が可能なことがわかった,これにより方法の定式化そのものも見通しがよくなった. 連携研究者の赤穂は,再生カーネル法について,本研究の理念と密接に関連した内容のテキストを執筆し,岩波書店から刊行した.研究代表者はこれに全面的に協力した.
|
Research Products
(2 results)