2006 Fiscal Year Annual Research Report
認知心理学的手法を用いたワールドワイドウェブ情報探索方略の研究
Project/Area Number |
18500199
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
森田 ひろみ 筑波大学, 大学院図書館情報メディア研究科, 講師 (00359580)
|
Keywords | 認知科学 / IT / ワールドワイドウェブ / 情報探索行動 / 注意 / 変化検出 |
Research Abstract |
本研究は、ワールドワイドウェブ上における効率良い情報探索方略に関する知見を得ることを目的としており、本年度は、ウェブ上での情報探索行動の認知的特性を調べた。 ウェブサイト閲覧の認知特性を研究する上でこれまで用いられてきた手法は、眼球運動測定や直接観察法等少数のものに限られる。本研究は、ウェブページのサイトアーキテクチャに着目し、その構成要素のどれに閲覧者が注意を向ける傾向があるかを心理学における変化検出という手法を用いて調べた。 実験1の結果、トップページのサイトアーキテクチャに関し、実験協力者が、セクションとサイトIDに始まり,メインコンテンツとユーティリティ、最後にサブコンテンツという順序で注意を向けることが示唆された。特に、セクションとIDのグループとユーティリティとサブコンテンツのグループの間には明確な注目時点の差が見られた。 よりウェブサイト閲覧に近い条件で行った実験2では(手動で画像を切り替え、トップページ、リンク先のページ、ダミーページの順に観察して変化検出実験を行った)、実験参加者はセクションにおける変化に最もすばやく気づき、IDやサブコンテンツにおける変化にはなかなか気づかないことがわかった。 以上の結果をまとめると、実験参加者はサイトのトップページにおいて、IDやセクションにまず注意を向けるが、IDに関してはほとんど情報処理がなされず記憶に残りにくい。一方、サブコンテンツに注意を向けるのは比較的遅く情報処理もなされにくいと言える。このような傾向は、サイト構成者の意図したものにかなり近い。それは、閲覧者が標準的なサイト構成要素の役割を無意識のうちに熟知して有効利用していることを示しているのかもしれない。 以上の実験は必ずしも通常のウェブ閲覧事態で行われたわけではない。そこで、来年度は、ウェブ閲覧事態において注意を計測するような実験も行う予定である。
|