2006 Fiscal Year Annual Research Report
心の理論における言語構造と行動制御:幼児の衝動性が他者の心の読みを惑わせるのか?
Project/Area Number |
18500208
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Osaka Shoin Women's University |
Principal Investigator |
菊野 春雄 大阪樟蔭女子大学, 人間科学部, 教授 (00149551)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
辻 弘美 大阪樟蔭女子大学, 人間科学部, 准教授 (80411453)
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Keywords | 心の理論 / 幼児 / 行動制御 / 実行機能 / カードソーティング / 作業記憶 / 認識 / 外見-中身課題 |
Research Abstract |
本研究では、心の理論課題の認識において、幼児の行動制御がどのように関連するのかのメカニズムを解明することが目的であった。そのため、保育園における3歳児、4歳児、5歳児を参加児として、心の理論課題、実行機能課題、作業記憶課題、外見・中身課題を実施した。その結果、5歳児と4歳児では心の理論課題と実行課題の間には相関が見られなかった。しかし、3歳児では、心の理論課題と実行課題の間に関係が見られた。また、心の理論課題と外見・中身課題については、3歳児、4歳児、5歳児の間で有意な関係は見られなかった。しかし、年齢を要因としないで、全体的に分析すると、心の理論課題は実行機能と関係が見られた。また、作業記憶との間にも有意な差が見られた。これらの結果から、心の理論課題での反応は、実行機能が関連することが示唆される。また、作業記憶と心の理論課題の成績との関連が見られることから、作業記憶を行う認知スペースが、心の理論課題を遂行するのに重要な要因であることが示唆された。また、この傾向は、3歳児で特に、傾向が強いことが示された。このことは、3歳ごろに、認知スペースが大きくなり、実行機能も制御できるようになり、これら認知スペースと実行機能の制御の発達が、幼児の心の理論の活性化を助けているのではないかと示唆された。また、心の理論課題と外見・中身課題については、3歳児、4歳児、5歳児の間で有意な関係は見られなかった結果については、今後も検討する必要があることが示唆された。
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