Research Abstract |
N(ソース)×n(対象)×m(変数)の3相配列の各ソースk(=1,...,N)に対応するn(対象)×m(変数)のデータ行列X_kに主成分分析を適用すると,n×p(成分)の成分行列G_kとm×pの負荷行列B_kが得られるが,S_kを任意のp次正則行列とすると,X_k〓G_kB_k'=F_kA_k',ただし,F_k=G_kS_k,A_k=B_kS_k^<-1'>となる.成分と負荷のソース間比較を可能にするS_kを同定するために,目的関数φ=(Nn)^<-1>‖F_k-F‖^2+(Nm)^<-1>‖A_k-A‖^2=(Nn)^<-1>‖G_kS_k-F‖^2+(Nm)^<-1>‖B_kS_k^<-1'>-A‖^2を最小にするF(ソースに共通の成分),A(共通負荷),および,変換行列S_k(k=1,...,N)を求める方法(同時プロクラステス分析,JPA)のアルゴリズムを昨年度に開発した.本年度は,得られた解の解釈指標の整備,および,実データへの適用によるJPAの有用性の評価を目的として,以下の(1)〜(4)の研究を行った.(1)JPAの解は直交回転ができるので,FとAの両者に同時に単純構造を与える回転法を考案した.(2)成分F_kのソース間変動と負荷A_kのソース間変動の大きさを表す分散指標を考案した.(3)F_kおよびA_kのソース間変動の大きさ(量)ではなく態様(質)を把握する目的のために,ソース・対象・変数を同一空間内にプロットするバイ・トリ・プロット法を考案した.(4)複数被験者(ソース)が刺激(対象)を形容語尺度(変数)によって評定した印象評定データに,JPA,および,その比較対象として既成の三相主成分分析法の一つであるTUCKER2を適用した.その結果,データへの適合度が高いこと,および,F_kのソース間分散とA_kのソース間を比較できる点などで,JPAが優れることが例証された.
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