2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18500215
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
只木 進一 佐賀大学, 総合情報基盤センター, 教授 (00202169)
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Keywords | 1 / f揺らぎ / インターネット / 交通流 / DFA / 周期性 / ボトルネック |
Research Abstract |
交通流の揺らぎは1/f的であるとよく言われる。武者と樋口による先駆的研究(1976)がこのことを最初に示したものとされているが、観測時間が短いという問題がある。一方、本研究の研究代表者らによる流量時系列のパワースペクトル解析では、数日から数週間の範囲に1/f的揺らぎが観測される。ただし、交通流の時系列には、人間の活動の周期性を反映して、1日の周期性を中心として、様々な周期性が含まれている。つまり、単純な1/f的揺らぎから構成されている時系列ではない。 このような非定常的な時系列データの解析手法の一つとしてDFA(Detrended Fluctuation Analysis)法と呼ばれる方法がある。この方法は、もともとはDNAの解析手法として開発され、株価変動や心拍などの時系列に応用され、それら非定常的時系列に含まれる長時間相関の解析に用いられている。 本研究の研究代表者は、このDFAを用いて、高速道路上の1年間の流量時系列を解析し、それが1日周期に1/f揺らぎが加わったものとして理解できることを明確に示すことに成功した。本年度は、その手法をインターネット時系列に適用し、その性質を理解した。 インターネットは、中心を持たない自律的に成長するネットワークとして、近年、注目を集めている。その構造のスケールフリー的性質とともに、流量時系列のベキ則への関心がもたれている。本研究では、MRTGというネットワーク監視システムから得られるデータを数ヶ月にわたって蓄積し、上述のDFAによる解析を実行した。その結果、交通流と同様に1日周期を主たる変動として、その上に1/f揺らぎがのったものであることが明らかとなった。この性質は、流入及び流出に共通に見られ、インターネットの構造が直接の要因でないことを示唆している。 また、ボトルネック構造が生成する渋滞の性質に関して、シミュレーション及びそれに基づく現象論の構築を行った。ボトルネックの強度と渋滞発生を対応つける関係式を得ることに成功した。
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