2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18500217
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Research Institution | Seijo University |
Principal Investigator |
塚原 英敦 Seijo University, 経済学部, 准教授 (10282550)
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Keywords | リスク管理 / 金融工学 / リスク計測 |
Research Abstract |
まず,リスク尺度として標準的となっているバリュー・アット・リスク(VaR),そして期待ショートフォールを特殊例として含む,歪みリスク尺度と呼ばれるクラスの1パラメータ族に関する計量経済学の見地から分析するために,まず正規分布とt分布に加えて,一般化パレート分布に対してリスク尺度の数値の比較を行い,裾の重い分布に対しては比例オッズ・リスク尺度がVaRと期待ショートフォールの問の値をとることが確認された.また,従属性のある時系列データに基づく推定量の漸近理論的な性質を考察し,MATLABを用いてシミュレーションを行い,ここでも比例オッズ・リスク尺度が統計的扱いやすさを有していることがわかった.これらの結果については,2007年8月2日に開催されたJAFEE(日本金融・証券計量・工学学会)の夏季大会,および11月14日に東京大学大学院数理科学研究科で開かれた統計数学セミナーで中間報告的な発表を行った.さらに,2008年3月21日にキャンパスプラザ東京で開催された第8回立命館国際シンポジウム"確率過程論と数理ファイナンスへの応用"においてもその後得られた結果を追加して研究発表を行った.様々なリスクの従属性を分析するための鍵である接合関数(コピュラ)については,2005年に応用統計学会の雑誌に掲載された論文に大幅に加筆・修正を施した概説論文を執筆し,2008年3月1日に成城大学で開かれた日本統計学会春季集会で発表を行った.さらに,米国ポートランドのLewis&Clark Collegeに赴き,接合関数の専門家であるRoger Nelsen教授と意見を交換した. リスク管理全般について,Princeton University Pressから出版されている書物"Quantitative Risk Management:Concepts,Techniques and Tools"の邦訳作業が塚原を訳者代表としたグループで進行しており,本年度で訳出が終了し,来年度の校正・出版を待つばかりとなった.
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