2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18500223
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | High Energy Accelerator Research Organization |
Principal Investigator |
柴田 章博 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 計算科学センター, 研究機関講師 (30290852)
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Keywords | データマイニング / 多変量解析 / ベイズ統計 / 高エネルギー実験 / 学習アルゴリズム |
Research Abstract |
高エネルギー実験や構造解析などの加速器実験の物理の解析と密接に関係する反応モデルに焦点をあてベイズ統計に基づく実験データの解析法を研究する。次世代の実験において、手法の改善や開発が求められている中心的な課題となるテーマを取り上げる。ベイズ統計の特徴であるデータとパラメータを統一的に取り扱いや、条件付確率による因子分析をグラフィカルモデルによって行うとともに、解析に必要なアルゴリズムの開発を行った。 18年度は、輝度電子・陽電子の衝突実験におけるルミノシティーの測定の問題を取り上げた。初期状態でエネルギーをそろえて加速した電子・陽電子は衝突点ではbeamstraghlungによって広がったエネルギースペクトラムとなる。このスペクトラムを3次元的に散乱した粒子のエネルギーから推定を行う問題の統計モデルを構築した。グラフィカルモデル(ベイシアンネットワーク)との対応を行うことによって粒子反応の詳細をモデルとして記述するともに、従来のブラックボックスとしてのニューラルネットを使った方法との対応関係が明確となる。また、学習アルゴリズムの適用の分析が平明となる利点がある。構成したモデルに対して、イベントジェネラエータを用いた模擬実験(シミュレーション)でデータを生成しパラメータ推定法を行なった。EMアルゴリズムによるパラメータ推定を行い、手法の有用性が確かめられた。ベイズ統計に基づく方法は、多くのCPU資源を要求するため、より効率のよい学習(パラメータ推定)やモデル評価の数値解析のアルゴリズム開発を合わせておこなった。現在、推定モデルの拡張を行いa)測定器誤差を含んだデータに対する推定,b)検出器を配置できないことによるデータ欠損の影響,c)電子+陽電子→電子+陽電子+γ線(欠損データ)などの酷似データの混在について評価を行っている。
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