2008 Fiscal Year Annual Research Report
タンパク質の二面角系弾性ネットワークモデルによる基準振動解析
Project/Area Number |
18500227
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
輪湖 博 Waseda University, 社会科学総合学術院, 教授 (60158607)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
猿渡 茂 北里大学, 理学部, 准教授 (00265729)
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Keywords | タンパク質のダイナミクス / 基準振動解析 / 弾性ネットワークモデル / 分子構造表現 / データベース |
Research Abstract |
Protein Data Bankに登録されたタンパク質の立体構造データからその動的特性を抽出するため、我々はこれまで基準振動解析(NMA)による研究を行ってきた。しかし、我々が行ってきたNMA計算では、タンパク質に結合するDNAやリガンドなどは、その方法論的制約から、除外せざるを得なかった。また、分子動力学などに比べれば短いとはいえ、長時間の計算を必要として、そのことが、数多くのPDBデータについて計算を行い、その結果をデータベース化しようという我々の目的のためには障害となっていた。こうした状況を踏まえ、本研究課題では、弾性ネットワークモデルによるNMA計算手法の開発を行った。すでにこうした手法はデカルト座標系では開発されているが、必要な独立変数の数が多くなることから、各アミノ酸を1つの原子で代表するなど更なる近似を必要とし、DNAなどを含む系にまでそれを拡張することはあまり意味がない、などの問題があった。そこでわれわれは、二面角系で解析を行うことによって、全原子を考慮した計算を可能とし、その結果、DNAなどタンパク質以外のいかなる分子を含んだ系も扱うことのできる方法論を開発することに成功した。また、弾性ネットワークモデルという近似を採用したおかげで、計算時間も大幅に短縮することができた。計算に必要なパラメータの値を決定するため、これまで我々が行ってきた精密なモデルでのNMA計算との比較や、PDBの温度因子との比較を行ったが、こうした計算がよい近似となっていることが示された。むしろ、タンパク質に結合するDNAなどの分子を無視したこれまでの精密計算より、それらを考慮した本近似計算の方が、よりよい結果を与えてくれるものも多々あった。今後、PDBに登録されたデータを網羅的に解析し、その結果をデータベース化することをめざして、本研究課題での成果を発展させていく予定である。
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Research Products
(5 results)