2007 Fiscal Year Annual Research Report
神経内分泌細胞のコレステロール輸送を基盤とした神経様小胞と分泌顆粒の形成機構
Project/Area Number |
18500235
|
Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
穂坂 正博 Gunma University, 生体調節研究所, 准教授 (80311603)
|
Keywords | 神経内分泌細胞 / 分泌顆粒 / 神経様小胞 / 脂質組成 / コレステロール / 選別輸送 / セクレトグラニンIII / ペプチドホルモン |
Research Abstract |
神経内分泌細胞では,ペプチドホルモンや神経ペプチドは,粗面小胞体で合成された後,ゴルジ装置を経て,トランスゴルジネットワークから分泌顆粒に選別輸送され,顆粒内に貯留され,細胞外刺激により分泌される。 本研究では,これまでペプチドホルモンが分泌顆粒へ選別されるメカニズムを明らかにするために,分泌顆粒に局在するグラニンタンパク質であるクロモグラニンA(CgA)が結合するタンパク質としてセクレトグラニンIII(SgIII)同定した。CgAとSgIIIの結合を生化学的に解析すると,顆粒内環境を反映するカルシウム濃度(10-20mM)と弱酸性(pH5.5)の条件下で強い結合を示した。更に,CgAのSgIII結合部位が,CgAの顆粒内輸送に必須であることを明らかにした。またSgIIIコレステロール組成が45-65mol%の顆粒膜と直接結合することを明らかにしてきた。また申請者は神経内分泌細胞でアクリジンオレンジやDAMPなどのpHプローブの取り込みが,分泌顆粒膜,神経小胞膜のコレステロール組成に依存することを見出した。 これらの背景から申請者は神経内分泌細胞の分泌顆粒と神経様小胞形成にはコレステロールが重要な働きを担うと考えた。平成19年度本研究では,『分泌顆粒膜,神経様小胞膜に特定濃度のコレステロールが貯留ざれるメカニズム』と『分泌顆粒と神経様小胞の構成タンパク質解析』を行い,1)顆粒膜のコレスデロール結合タンパク質SgIIIはCgAと結合は1:1のストイキオメトリーで結合するのみならず,凝集した多量のCgAと結合し,ペプチドホルモンを分泌顆粒へ輸送することを明らかにした(論文投稿中)。2)コレステロール合成阻害剤とコレステロール基質を用いて,神経内分泌細胞と内分泌組織からのホルモン分泌を調べ,コレステロールと顆粒形成の関係を明らかにした(論文投稿中)。
|