2007 Fiscal Year Annual Research Report
エネルギー代謝調節ネットワークにおけるボンベシン様ペプチド系の作用機序
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18500237
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
浜崎 浩子 Tokyo Medical and Dental University, 難治疾患研究所, 准教授 (00211483)
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Keywords | 脂肪酸 / 摂食調節 / 肥満 / ボンベシン様ペプチド / BRS-3 / ノックアウトマウス |
Research Abstract |
脂肪酸は体内のエネルギー状態を脳に伝達するという重要な役割を担っていることが近年明らかになりつつある。ボンベシン様ペプチド系は摂食・肥満調節に重要であることが知られていたが、本研究ではその受容体の一つであるBRS-3が脂肪酸による摂食・肥満の調節に関わっているかについて調べた。 前年度に脂肪酸脳室内投与により、視床下部弓状核ニューロンが活性化されることを見いだした。今年度はこの活性化の程度をBRS-3欠損マウスと正常マウスで比較したところ、欠損マウスでは脂肪酸投与により活性化された細胞数はvehicle投与時とほぼ同程度であり、増加していないことがわかった。In situ hybridization法を用いて、弓状核のBRS-3発現細胞の解析を行ったところ、これらの細胞は弓状核における主要な摂食促進ペプチドであるNPYとAgRP、また摂食抑制ペプチドであるCARTとPOMCのどれもほとんど発現していないことが示された。さらに弓状核から細胞を単離し、脂肪酸に対する反応をカルシウムイメージング法によって調べた。その結果、BRS-3欠損マウスから単離した細胞でも、正常マウスの細胞と同様に脂肪酸に対する反応が観察された。 以上のことから、ボンベシン様ペプチド受容体の一つであるBRS-3は脂肪酸による摂食量の調節に関わっており、その作用部位は弓状核であることが示唆された。この結果は、未だ不明な点が多い脂肪酸の作用機序の一端を明らかにしたものであり、メタボリックシンドロームの発症機序に関連する可能性があるという点でも重要である。
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Research Products
(1 results)