2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18500238
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
善岡 克次 Kanazawa University, がん研究所, 教授 (60200937)
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Keywords | シグナル伝達 / 足場タンパク質 / MAPキナーゼ / 小脳 / マウス / JNK / 顆粒細胞 / 発生・分化 |
Research Abstract |
哺乳類MAPキナーゼ(MAPK)経路の足場タンパク質は,シグナル伝達の特異性維持を規定する因子であり,MAPKの時空間的制御にも関わると考えられている。しかし,詳細については不明な点が多い。我々は,自らのグループが同定した足場タンパク質JSAP1を中心に解析を進めており,今年度の研究成果は以下の通りである。 1.免疫組織化学法による解析を行い,JSAP1タンパク質は発達期小脳の外顆粒層を形成する顆粒前駆細胞(GCP),特に増殖を停止したGCPで強く発現していることを見出した。 2.JSAP1-JNK MAPKシグナル伝達系によるGCPの増殖、分化制御機構を明らかにするため,生後4日目のマウスから小脳GCPを精製し,初代培養系を用いて解析した。その結果,JSAP1-JNKシグナル伝達系はGCPの増殖阻害,および分化促進に関わることが強く示唆された。 3.GluRε3-CrePRマウス(Cre組換え酵素とprogesterone受容体の融合タンパク質が小脳顆粒細胞特異的に発現する遺伝子改変マウス)を用いて小脳顆粒細胞特異的にJsap1遺伝子破壊を誘導できるマウス作出した。抗プロゲステロン剤RU-486を生後1日目(P1)からP5まで5日間経口投与し,Jsap1遺伝子破壊によるGCP増殖活性の変化を検討した。しかし,この実験系ではJsap1遺伝子破壊までに時間がかかり,別の実験系を用いて調べる必要があることが判明した。そこで,小脳顆粒前駆細胞特異的かつ非誘導型Jsap1 KOマウスの作出に着手した。 4.Jsap1 KOマウスは,生後まもなく呼吸不全のために死亡することが知られている。しかし,原因については不明な点が多い。そこで,神経系特異的Jsap1 KOマウスの作出、解析を行い,Jsap1 KOマウスの生直後の死亡は神経系の異常に起因することが強く示唆された。
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