2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18500240
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
山崎 暁子 Kyoto University, 医学研究科, 助教 (80343226)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金子 能宏 国立社会保障・人口問題研究所, 社会保障応用分析研究部部長 (30224611)
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Keywords | 自殺 / 予防 / 国際比較 / 神道 / 宗教 / キリスト教 / 文化 / 仏教 |
Research Abstract |
神道の起源と歴史的展開を文献研究することにより、一方で、神道の命の捉え方は自殺予防につながるものであることが確かめられ、他方で、戦前の国家神道を反省した戦後の民主憲法の下での政教分離により、神社の神官(禰宜など)が政府の補助金の入っている学校教育や地域の社会教育施設などで、祖先を敬うことから自らの命を大切にすることを軸とした自殺予防の普及に直接関与することは難しい側面もあることが明らかになった。 勤労者・若年者の自殺予防には、自殺を引き起こす要因を神道の生活規範に基づいて是正していくことが期待される。例えば神道にある「大御心をいただきてむつび和らぎ」などの生活規範を尊ぶことができれば、職場のパワーハラスメントは許されないことが理解され、職場における人間関係の融和を通じて自殺予防が進むと考えられる。また、この規範を尊重すれば、学校教育でも、いじめを原因とする自殺予防も進むことが期待される。 以上のように、宗教文化としての神道の歴史的展開と、そこで培われた生活規範と自殺予防との関係を探ることによって、日本の神道は、戒律や聖典がないため、命を大切にすることを教化を通じて人々に伝える点で他の宗教よりも影響力が弱いかもしれない。しかし、教化や政策を通じることがなくても、平成18年度の文献研究ならびに本年度の事例研究と考察によって、神道の生活規範と神道の神々を祀る神社の地域での活動には、自殺予防に大きく貢献する可能性があることが、明らかになった。
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