2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18500240
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
山崎 暁子 Kyoto University, 医学研究科, 助教 (80343226)
|
Keywords | 自殺 / 失業 / 女子労働 / 人口密度 / 神道 / 宗教 / 日本 / 自殺予防 |
Research Abstract |
9つの社会生活指標が日本人の自殺に与えた影響を重回帰分析で解析をおこなった。失業が男女共に自殺に有意な影響を与えた。女子の労働への参加が男子の自殺に正の関連を示した。年齢別の解析では、失業は若年、中年、高年の男子の自殺と若年の女子の自殺に有意な関連を示した。女子の労働への参加は若年と高年の男子と若年の女子とに有意な関連を示した。離婚は中年と高年の男子と若年の男女に有意な関連を示した。人口密度は中年男子と若年女子に有意な関連を示した。次に日本の神道の歴史と特徴を概観し、神道と自殺予防との関係について研究を行った。現在、日本では、正月三日間で300万人が参拝する明治神宮から地域の小さな社まで神社は日本の津津浦々に存在し、その数は約8万社にのぼる。神仏混淆があるため、このような神社に参拝する人々と宗教法人としての教派神道に所属する人々と、その他の宗教の信者数とを合わせた総数に占める、神道系、仏教系、キリスト教系の割合はそれぞれ50.3%、44%、1%と推定されている。このように、神道の影響を受けている日本人の割合は多いが、神道は宗教的文化であり、人々が信仰心を表して年中行事などに参加するため集まる神社は、教化機能を必ずしも果たすものではない。その結果、現状では、自殺予防について、神道に基づく組織的な対応があるわけではない。しかし、神道の規範には、人の命を大切にすることが含まれており、これが宗教的文化としての神社の祭りや年中行事や参拝の機会を通じて自殺予防のために組織的に活用されていく可能性は大きいと思われた。
|
Research Products
(1 results)