2007 Fiscal Year Annual Research Report
ドーパミン依存性一次聴覚野音声受容可塑性の細胞・分子基盤に関する研究
Project/Area Number |
18500241
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
宋 文杰 Kumamoto University, 大学院・医学薬学研究部, 教授 (90216573)
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Keywords | 神経科学 / 生理学 / 脳・神経 |
Research Abstract |
純音刺激と腹側被蓋領域ドーパミンニューロンの刺激と組み合わせると、刺激に用いた純音に応答する皮質一次聴覚野の領域が拡大することが知られている。このような可塑性は音声学習の神経基盤になる可能性が考えられるが、その機構は明らかにされていない。本研究では、皮質一次聴覚野におけるドーパミンの神経修飾作用を解明することを研究目的としている。一次聴覚野における神経修飾を調べるにあたって、一次野の同定が曖昧であったことに気づいた。そこで、in vivo光計測法で、純音に対する聴覚皮質広い領域の応答を電位感受性色素を用いてイメージングし、一次聴覚野を同定することにした。その結果、一次野や二次野の同定に成功しただけでなく、一次野の腹側に新しい聴覚領野の存在も見出した。また、二次野周辺のベルト領域についても、特徴付けることができた。このように同定した一次野と二次野において、RH-795を用いたイメージングで調べた結果、ドーパミンやそのアゴニストが聴覚応答に対する顕著な効果が見られなかった。本年度の途中で、より高感度で聴覚応答が計測できる青色素を用いたイメージングで、薬品投与前後の効果を加算平均なしで検討できるようになった。この場合においてもドーパミンによる顕著な効果が見られなかった。そこで、皮質においてドーパミンと類似した可塑性を引起すアセチルコリンの効果を検討した。オキソトレムリンを皮質に投与すると、一次野や二次野の聴覚応答が抑制されることがどの電位感受性色素を用いても見られた。よって、アセチルコリンはムスカリン受容体を介して皮質応答を抑制することが分かった。また、ムスカリン受容体が皮質において興奮後の抑制も強く抑制することも見られた。これらの作用が聴覚野の可塑性を誘導する可能性が考えられる。
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Research Products
(3 results)