2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18500254
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Organization for Medical Research |
Principal Investigator |
西村 一成 (財)東京都医学研究機構, 東京都神経科学総合研究所, 研究員 (90321794)
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Keywords | 神経科学 / 脳・神経 / 発生・分化 / 生体分子 / 糖鎖 / 極性化 / 細胞骨格 / 細胞接着分子 |
Research Abstract |
極性化した神経細胞の軸索と樹状突起は、それぞれに特有の機能分子を発現している。神経細胞の極性化は軸索と樹状突起の間隙で、機能的な膜分子の側方自由拡散を制限することで維持されうることが知られる。細胞体から伸びる神経軸索の付け根は、軸索起始部と呼ばれ、ナトリウムイオンチャネル(NaCh)が集積して活動電位を発生する領域である。NaChの集積には、軸索起始部の細胞膜を裏打ちする細胞骨格分子アンキリンGと、それに結合するベータIVスペクトリンの両者の発現が必要である。研究代表者は、ベータIVスペクトリンの遺伝子欠損マウスを用いて、軸索に局在するL1細胞接着分子(L1CAM)の自由拡散が、軸索起始部の細胞骨格分子によって制限されること見出した。ベータIVスペクトリンの遺伝子欠損マウスの海馬CA1領域の錐体細胞層において、L1CAMの漏出が認められ、同マウスより培養された海馬神経細胞についても、正常の海馬神経細胞に比し、L1CAMが有為に漏出していることを見出した。また、べータIVスペクトリンからなる拡散障壁は、初代培養した海馬神経細胞の軸索起始部において、抗L1CAM抗体をコートしたマイクロビーズの可動性アッセイによってその存在を明らかにした。さらに、軸索起始部におけるL1CAMの側方自由拡散は、L1CAMの優性劣性変異体の強発現により、L1CAMの細胞内領域に存在するアンキリンGとの結合部位が必要であることを認めた。これは、L1CAMの可動性の制限が、軸索起始部における他分子の高集積に起因するのではなく、アンキリンGとの特異的な結合に起因することを示唆する。本研究成果は、ベータIVスペクトリンとアンキリンGからなる複合体が、軸索起始部においてL1CAMに対する特異的な拡散障壁を形成していることを示している。
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