2008 Fiscal Year Annual Research Report
成長円錐の自律的右ねじ回転運動の分子機構および神経回路構築における機能の解明
Project/Area Number |
18500255
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
玉田 篤史 The Institute of Physical and Chemical Research, 神経成長機構研究チーム, 研究員 (60270576)
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Keywords | 成長円錐 / 回転運動 / 非対称性 |
Research Abstract |
本研究では、成長円錐の右ねじ回転運動・神経突起の右旋回運動という左右非対称な運動特性に関して、1)神経細胞の成長円錐がどのようなメカニズムによって回転するのか?、さらに、2)成長円錐が回転運動し、神経突起が旋回運動することはどういった生物学的意味を持つのか、ということを具体的な研究項目としている。これまでの研究により、成長円錐のフィロポディアが右ねじ方向に回転運動し、右ねじ方向に動くのは成長円錐全体ではなく、個々のフィロポディアであることが明らかとなった。また、細胞骨格として微小管ではなくアクチンフィラメントがこの運動に関与することが明らかとなった。アクチン分子はミオシン分子との相互作用により力を発生することから、この相互作用が回転運動を生じされている可能性が考えられる。そこで、成長円錐内に存在するミオシン分子の機能を阻害することで、ミオシン分子の関与を探った。ミオシン分子ファミリーのうち、神経系で発現することが知られているミオシンVに着目した。アクチンフィラメントとの結合部位を含むヘッドドメインのみを発現するドミナントネガティブ体のcDNAを神経細胞に遺伝子導入したところ、成長円錐の回転運動が阻害されるととが観察された。このドミナントネガティブ体による阻害効果は完全長のミオシンVの共発現によりレスキューされることもわかった。これらのことより、ミオシンVが成長円錐の回転運動に関与することが示唆される。さらに、ドミナントネガティブ体導入後の神経細胞の再凝集塊を二次元基質上で培養したところ、神経突起の右旋回性が減弱し、この減弱も完全長ミオシンVによりレスキューされた。また、フィロポディアの回転速度と二次元平面状での旋回の曲率に相関関係がみられた。以上のことより、二次元平面上での神経突起の右旋回性がミオシンVによる成長円錐の右回転運動に起因することが示唆される。
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