2007 Fiscal Year Annual Research Report
比較解剖学的視点からみた嗅球の構造解析:げっ歯目と食虫目
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18500265
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
小坂 克子 Kyushu University, 大学院・医学研究院, 教授 (60202058)
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Keywords | 感覚系 / 嗅覚系 / 免疫細胞化学 / 共焦点レーザー走査顕微鏡 / 電子顕微鏡 / 介在ニューロン / 投射ニューロン / 神経回路 |
Research Abstract |
実施計画に従い、今年度は1)を中心として詳細な解析を行った。 1)正常マウスc57BLについて a.嗅球糸球体内で、嗅神経から入力を受けるタイプ1傍糸球体ニューロン(PG;TH陽性)と入力を受けないタイプ2PG(CB陽性、CR陽性)を確認していたので、それらの化学的多様性および細胞体サイズを観察した。その結果、これら3種の共存は見られず、すべてのTH陽性PG、すべてのCB陽性PGがGABA陽性であり、約2/3のCR陽性PGもGABA陽性でありラットとは大きく異なった。また、CR陽性PGの約1/2がNOS陽性であった。これら5種類のPGの細胞体サイズの分布を求め、Kruskal-Wallis testを行った結果、有意に異なることが判明した。それぞれのサイズ(μm)は、GABA陽性PGは7.1と8.4の2グループから、TH陽性PGは、7.8と9.5の2グループからなり、CR陽性PGは6.8、CB陽性PGは6.9であった。NOS陽性細胞中のPGは7.2と5.7であった。GABA陽性PGは、タイプ1、2を含み、複雑な構成であるが、TH陽性PGについては、我々が以前ラットで報告した胎生期に出現する大型の細胞と、生後に出現する小型の細胞に一致する可能性が高い。マウスにおける多様な傍糸球体ニューロン構成の基礎的データーを集積できた。b.Ca結合タンパクparvalbumin(PV)陽性ニューロンの解析。PV陽性細胞は多様な細胞群であり、ラットと同様である外網状層の中型細胞とラットでは存在しない大型の短軸索細胞、PGを含むことが判明した。この短軸索細胞は細胞体を、内網状層、外網状層、顆粒細胞層に置き、軸索を外網状層に広げている未報告の神経細胞であった。 2)その他の比較解剖学的解析 嗅球の層構造についての文献検討より、食虫目の構成に近いと予測されたブタを用いて、免疫細胞化学染色を行った。ジャコウネズミ等で我々が発見した小巣体は存在せず、tasseled cell系の存在も否定された。 以上から、現在実験動物として主流となったマウスにおける嗅球神経構成の基礎となる詳細な形態学的データーを得ることができた。
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Research Products
(4 results)