2007 Fiscal Year Annual Research Report
細胞間接着因子L1-CAMの翻訳後調節と神経因性疼痛における役割
Project/Area Number |
18500269
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Research Institution | Hyogo College of Medicine |
Principal Investigator |
山中 博樹 Hyogo College of Medicine, 医学部, 助教 (20340995)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野口 光一 兵庫医科大学, 医学部, 教授 (10212127)
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Keywords | 細胞間接着因子 / シナプス可塑性 / L1-CAM / 神経因性疼痛 / MAP kinase / 翻訳後修飾 / 後根神経節 / 脊髄後角 |
Research Abstract |
本申請課題について以下の点を明らかにし、下記業績として発表した。 末梢神経損傷モデルラットにおいてイムノグロブリンスーパーファミリーの一員であるL1-CAMの発現の変化を明らかにした。詳細な結果としては、後根神経節においてL1-CAMの転写活性が末梢神経損傷によって全く影響を受けずに、転写後の調節によって局在の変化を示すことを明らかにした。組織学的には損傷をうけた後根神経節ニューロンの細胞膜付近への局在変化を示す事をしめし、生化学的にはプロテアーゼによって切断されない全長タイプのL1-CAMが神経節に集積する事がわかった。また、この集積はMAP kinaseの一つであるp38のリン酸化と共存していた。痛覚伝達路である脊髄後角においてはL1-CAMは後根神経節由来の投射先である後角で発現変化を示した。正常状態においては脊髄後角I-II層の線維に局在しているL1-CAMは末梢神経損傷によってシナプス終末に局在するようになることを組織学的に見いだした。生化学的には末梢神経損傷後には後根神経節とは逆にL1-CAMの全長型の減少を認め、プロテアーゼによる切断型が増加してくることがわかった。このような細胞膜上、シナプス前終末への集積を阻害する目的でL1-CAMの細胞外ドメインにたいする抗体を髄腔内へ慢性投与した結果、末梢神経の部分損傷に伴う疼痛過敏行動を抑制することがわかった。細胞外L1-CAMの接着活性阻害を目論んだこの実験によって後根神経節において末梢神経損傷後に増加したリン酸化p38の増加を抑制することが明らかとなった。すなわち、L1-CAMの輸送の変化や細胞外での集積・切断といった転写後調節が末梢神経損傷後に起こることで疼痛伝達経路における可塑的な変化の一因となり、疼痛に関与しているメカニズムを明らかとした。
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Research Products
(13 results)