2007 Fiscal Year Annual Research Report
シナプスの可塑的変化における、シナプス及びシナプス局在タンパクの動態解析
Project/Area Number |
18500272
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
海老原 達彦 National Institute of Advanced Industrial Science and Technology, 脳神経情報研究部門, 研究員 (00344119)
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Keywords | 神経再生 / 神経可塑性 / シナプス後肥厚部(PSD) |
Research Abstract |
神経回路は外的環境に対応するために、常に回路を更新している。すなわち入力に応じてシナプス伝達効率を変更し、更にシナプス数を変えると考えられており、その証拠も得られてきている。しかし、シナプス可塑性に関して得られた証拠は、固定した脳切片を電子顕微鏡などで観察して得られた証拠または、神経細胞の分散培養系を用いて得られた、神経回路が保存されていない系からの証拠、が多い。最近、脳本体を直接観察してシナプスの形態変化を追い始めた例も出始めているが、現状では、まだ少数である。 本研究では、生きた状態のマウス個体脳或いは海馬の神経回路にて、神経活動依存的な神経シナプスの動態を解析することを目的として、トランスジェニックマウスの作製から始めた。 一部の錐体細胞を可視化することが出来るマウスをデザインし、作製した。このマウスはアデノウィルス等によって実際にCreリコンビナーゼを発現した細胞においてのみ、シナプス或いは細胞全体が可視化される。子宮内エレクトロポレーション法によって、マウス固体脳にCreリコンビネースを発現させて観察するための最適条件を検討した。(なお、先行して作製したloxP挿入GFPマウスについて解析した結果、組み替えによって活性化された発現量は、細胞間で一定で、かつ安定していたので、トランスジェニックマウスが長期観察に有用であると言える。) 今後、これまでに作製したマウス海馬の急性スライスを用いて、神経活動依存的な神経シナプスの動態解析を開始できるものと考えている。 また、マウス個体の大脳を、麻酔下で観察し、大脳皮質のスパインを、第V層の深さまで微細に観察することに成功した。現在更に観察条件を検討中であり、少なくとも大脳表面については、マウス個体の状態で、神経シナプスの長期解析を行う日処がついた。
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