2007 Fiscal Year Annual Research Report
デルタ-カテニンのシナプス領域における形態変化誘導に関する研究
Project/Area Number |
18500273
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
落石 知世 National Institute of Advanced Industrial Science and Technology, 脳神経情報研究部門, 主任研究員 (30356729)
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Keywords | 神経科学 / 脳・神経 / 蛋白質 / 細胞・組織 / シグナル伝達 |
Research Abstract |
1.興奮性の刺激による突起伸展とデルタータテニンとの関連についての解析神経細胞へ興奮性刺激を加えるとフィロボディア様の突起の伸展が確認され、これが神経細胞の可塑性と深く結びついていると考えられている。デルタカテニンはPDZ結合モチーフでPSD・95と結合しNMDA受容体等と分子複合体を形成し、そのPDZ結合ドメインを欠損した変異体を導入すると成熟神経細胞でも多数のフィロボディアを誘導することができる。そこで、興奮性の刺激によってデルタカテニがPDZドメインを含む分子複合体から解離しフィロボディアを誘導することができるかを調べた。成熟した培養神経細胞をグルタミン酸・NMDA・DHPGで刺激したところ、いずれの場合も、デルターカテニンとPSD-95は解離した。特にDHPGによる解離の時間経過は刺激によるフィロボディアの伸展の時間経過とて一致した。このことは刺激による突起伸展が、足場蛋白質から遊離したデルターカテニンから引き起こされている可能性を示唆している。そこで、そのメカニズムを解析した。結合・解離状態を決定する因子とレてリン酸化が考えられるため各種リン酸化抗体を用いて、デルターカテニンが刺激により何らかのリン酸化を受けているかを解析した結果、セリン・スレオニンきチロシンともリン酸化が上昇していることが明らかとなった。 2.神経細胞の発達過程における形態変化とデルターカテニン及び足場蛋白質との関連神経細胞の発達段階に応じてデルターカテニンのPDZ結合ドメインの標的蛋白質の発現量は上昇する。そこで、PDZ結合ドメインと足場蛋白質の親和性が発達過程で変化するか調べた。その結果成熟神経細胞ほど、親和性が増加していた。このことは、幼若神経細胞では、遊離したデルターカテニンの割合が大きいことになり、これが多くのフィロボディアを誘導する.一因となっていると考えられる。
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