2006 Fiscal Year Annual Research Report
ユビキチン-プロテアソーム系を標的とするシヌクレイン封入体の形成・分解機構の解明
Project/Area Number |
18500275
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
若林 孝一 弘前大学, 医学部, 教授 (50240768)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
丹治 邦和 弘前大学, 医学部, 助手 (10271800)
冨山 誠彦 弘前大学, 医学部, 助教授 (40311542)
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Keywords | αシヌクレイン / パーキンソン病 / 多系統萎縮症 / レビー小体 / NUB1 / シヌクレイノパチー |
Research Abstract |
本年度は、まずパーキンソン病の黒質および青斑核におけるαシヌクレインの蓄積と神経細胞変性との関係について検討を行った。対象としてパーキンソン病10例、正常対照7例の剖検脳組織を用いた。その結果、チロシン水酸化酵素(TH)陰性神経細胞の出現とαシヌクレインの蓄積、神経細胞脱落には密接な関係が存在することが明らかになった。パーキンソン病の黒質では10%、青斑核では54.9%の神経細胞がαシヌクレイン陽性封入体を含有していた。さらに、黒質ではαシヌクレイン封入体含有神経細胞の82.3%が、青斑核でも39.2%がTH陰性であった。最近、TH活性の低下は細胞障害性物質の減少をもたらすこと、ドパミンの産生低下は細胞障害性に作用するαシヌクレインオリゴマーの減少を起こすことが報告されている。したがって、今回の結果から、パーキンソン病の黒質および青斑核におけるTH活性の低下は細胞を保護する目的で生じている現象であると考えられる。 次に、多系統萎縮症の心臓交感神経系における変性過程を明らかにする目的で、多系統萎縮症15例の交感神経節と心筋を免疫組織化学的に検索した。その結果、多系統萎縮症では15例中6例で心臓のTH陽性神経線維が減少しており、さらに6例中4例では交感神経節におけるTHの免疫原性が低下していた。つまり、多系統萎縮症においても心臓交感神経系の変性が起こりうることが示された。さらに、パーキンソン病では病初期から心臓の交感神経線維の脱落が生じており、それは交感神経節や迷走神経背側核の神経細胞脱落に先立つことを明らかにした。 さらに、αシヌクレイノパチー(パーキンソン病、レビー小体型認知症、多系統萎縮症)、タウオパチー、運動ニューロン病、ポリグルタミン病を含む43剖検脳の検討により、NUB1の蓄積はαシヌクレイノパチーに特異的であることを明らかにした(投稿中)。現在、その分子メカニズムに関して研究を継続中である。
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Research Products
(3 results)